冥王星水瓶座時代の「生きづらさ」を読み解く——なぜいま、心がざわつくのか

最近、なんとなく落ち着かない。

はっきりとした理由があるわけではないのに、漠然とした不安を感じる。社会の空気が変わっていく感覚はあるけれど、自分がどこに向かえばいいのかがわからない。

もし、あなたがそんな気持ちを抱えているなら、それはとても自然なことなのかもしれません。

占星術の世界では、2023年から約20年にわたる「冥王星水瓶座時代」が始まったと言われています。冥王星は約248年かけて太陽のまわりを一周する惑星で、一つの星座に滞在する期間は十数年から二十数年。その間、冥王星が象徴する「破壊と再生」のエネルギーが、滞在する星座のテーマに深く作用するとされています。

水瓶座が象徴するのは、テクノロジー、情報ネットワーク、共同体、そして革新的な理想。つまりいま、わたしたちの社会の根幹をなすものが、根底から揺さぶられているのです。

この記事では、なぜいまこれほど「生きづらさ」を感じるひとが多いのか、その深層を探っていきます。歴史をひもとき、現代の状況を見つめ直し、そしてこの時代をどう生きていけばよいのかを、一緒に考えてみましょう。

第1章 歴史が教えてくれること——前回の冥王星水瓶座時代

前回、冥王星が水瓶座に滞在したのは1777年から1798年のこと。いまから約250年前です。

この時代に何が起きたか、歴史の授業で習ったことを思い出してみてください。アメリカ独立革命、フランス革命。世界史の中でも特に大きな転換点とされる出来事が、まさにこの時期に起きていたのです。

王様や貴族が絶対的な力を持っていた時代が、民衆の手によって終わりを迎えました。「自由・平等・博愛」という理想が掲げられ、国の主権は王から人民へと移っていきました。

これは水瓶座の象徴する「革新」「理想」「共同体」が、冥王星の「破壊と再生」のエネルギーと結びついた結果です。古いシステムが壊され、新しい世界の設計図が描かれた時代だったのです。

しかし、その過程は決して穏やかなものではありませんでした。

革命は混乱を生みました。フランス革命では恐怖政治の時代があり、多くの血が流れました。身分制度という「安定」を失った人々は、新しい時代への希望と同時に、深い不安を抱えていたはずです。

理想を掲げることと、それを現実に落とし込むことのあいだには、大きな溝がありました。そして、その溝に落ちて苦しんだひとたちがたくさんいたのです。

「革命は、自らの子供たちを食い尽くす」——ジャック・マレー

この言葉は、フランス革命の渦中を生きたひとの実感を表しています。変革の時代は、それを担うひとたちにとっても、巻き込まれるひとたちにとっても、非常に厳しいものでした。

いまの時代に感じる「生きづらさ」もまた、このような歴史のパターンと重なるものがあるのかもしれません。わたしたちは、時代の大きな変わり目に立っている。その感覚は、決して錯覚ではないのです。

第2章 現代の「生きづらさ」——四つの断絶

現代における「生きづらさ」は、前回の冥王星水瓶座時代よりもさらに複雑で、内面的な問題を含んでいます。

それは、テクノロジーとグローバル化が極限まで進んだ結果として生まれた、四つの「断絶」として理解できます。

ひとつ目は、システムと個人の断絶です。

わたしたちの日常は、気づかないうちにアルゴリズムに管理されています。SNSのタイムラインに何が表示されるか、どんなニュースが目に入るか、さらには就職活動の書類選考まで、AIやシステムが判断を下しています。

効率と合理性を追求するシステムは、わたしたちの感情や個別の事情を考慮しません。その結果、「自分はただのデータのひとつに過ぎないのではないか」という疎外感が生まれます。

ふたつ目は、情報と真実の断絶です。

インターネットによって、誰もが情報を発信できるようになりました。これは水瓶座の理想である「知識の民主化」の実現とも言えます。しかし同時に、何が本当で何が嘘なのかを見極めることが、とても難しくなりました。

フェイクニュース、陰謀論、エコーチェンバー。信頼できると思っていたメディアや専門家への疑念も広がっています。「何を信じていいかわからない」という状態は、心を深く疲弊させます。

三つ目は、つながりと孤独の断絶です。

SNSでたくさんのひとと「つながっている」はずなのに、なぜか孤独を感じる。そんな経験はないでしょうか。

「いいね」の数やフォロワーの数は、本当の人間関係の深さを測るものではありません。表面的なつながりが増えれば増えるほど、かえって本当に心を開ける相手がいないことに気づいてしまう。これは現代特有のパラドックスです。

四つ目は、理想と現実の断絶です。

多様性を尊重しよう、持続可能な社会をつくろう、ウェルビーイングを大切にしよう。美しい理想は至るところで語られています。

けれど現実を見れば、経済格差は広がり、環境問題は深刻化し、心を病むひとは増え続けています。「正しいことはわかっているのに、何も変えられない」という無力感は、重い「生きづらさ」として心に積もっていきます。

  • システムによる疎外感——自分がデータに還元される感覚
  • 真実の不確かさ——何を信じればいいかわからない不安
  • つながりの空虚さ——表面的な関係と深い孤独
  • 理想と現実のギャップ——変えたいのに変えられない無力感

これらの断絶は、それぞれが独立しているのではなく、互いに絡み合いながら、わたしたちの心に影を落としています。

静寂の物語——ある朝の出来事

その朝、彩子は目覚ましが鳴る前に目を覚ました。

カーテンの隙間から差し込む光は、まだ淡い灰色をしていた。枕元のスマートフォンには、夜のあいだに届いた通知が並んでいる。いつもなら反射的に画面をスクロールするのに、今日はなぜか手が伸びなかった。

窓を開けると、ひんやりとした空気が頬をなでた。どこかでヒヨドリが鳴いている。近所の家の煙突から、かすかに煙が立ち上っていた。

彩子は、台所でお湯を沸かした。やかんの底から小さな泡が浮かび上がり、やがてごぼごぼと音を立てる。その音を、ただ聴いていた。

温かい白湯を両手で包むように持ち、窓辺に立った。向かいの公園では、犬を連れた老人がゆっくりと歩いている。木々の葉は朝露に濡れて、光を受けるたびにきらきらと輝いた。

いつもと変わらない風景だった。けれど今朝は、その風景がやけに鮮明に見えた。

ふと気づいた。この数ヶ月、自分はずっと「何か」を追いかけていた。SNSの更新、仕事のメール、ニュースの見出し。常に情報を追い、比較し、焦っていた。

でもいま、やかんの湯気が立ち上るのを見つめ、鳥の声を聴き、冷たい空気を吸い込んでいる。ただそれだけのことが、どうしようもなく心地よかった。

世界は、こんなにも静かだったのか。

白湯を一口飲む。温かさが喉を通り、体の芯に染みていく。スマートフォンの画面はまだ暗いままだ。そしてそれで、何も困ることはなかった。

第3章 この時代をどう生きるか——内なる変容への道

彩子が朝の静けさの中で感じたこと。それは、わたしたちがこの時代を生きるうえで、とても大切なヒントを含んでいます。

冥王星水瓶座時代の「生きづらさ」は、たんに耐えるべき苦難ではありません。それは、わたしたち一人ひとりに向けられた「変容への招待状」なのです。

外側の世界が混沌としているからこそ、わたしたちは内側に確かな軸を持つ必要があります。ここでは、この時代を生き抜くための四つの視点をお伝えします。

第一に、内なる権威を確立することです。

SNSの流行、他人の評価、社会の「正解」。わたしたちは知らず知らずのうちに、外側の基準で自分を測っています。しかし、その外側の基準自体が揺らいでいるいま、それに頼り続けることはできません。

「自分にとっての真実とは何か」「自分は何を本当に大切にしたいのか」。この問いと向き合い、自分自身の中に判断の軸を持つこと。それが、外の混乱に振り回されないための一番のよりどころになります。

第二に、身体性を取り戻すことです。

デジタルの世界では、すべてが抽象化されています。データ、数字、テキスト。そこに「手触り」はありません。

だからこそ、自分の体を通じて世界と関わることの価値が高まっています。自然の中を歩く、手で料理をつくる、土に触れる、ひとと直接会って話す。五感を使った体験は、わたしたちに「いま、ここに生きている」という実感を与えてくれます。

彩子が朝の冷たい空気やお湯の温かさを感じたとき、心が落ち着いたのは偶然ではありません。身体は、嘘をつけない究極の「リアル」なのです。

「身体とは、私たちの魂が住む神殿である」——古代の格言

第三に、自分の内側にある「影」と向き合うことです。

冥王星は「隠されたもの」を暴く星です。この時代、社会のさまざまな問題が表面化しているように、わたしたち個人の内面でも、見たくなかったものが顔を出すことがあるかもしれません。

自分の弱さ、恐れ、コンプレックス。それらを否定するのではなく、認めて受け入れること。心理学では「シャドウワーク」とも呼ばれるこのプロセスは、苦しいけれど、自分をより深く理解し、強くなるための道です。

破壊されることを恐れるのではなく、自ら手放すことを選ぶ。そのとき、「生きづらさ」は成長の糧へと変わります。

第四に、テクノロジーとの関係を見直すことです。

テクノロジーそのものが悪いわけではありません。問題は、わたしたちがテクノロジーに「使われている」状態になっていることです。

SNSを開くとき、それは自分の意志ですか、それとも習慣的な反応ですか。情報を追いかけているとき、本当にそれが必要ですか。

テクノロジーを「道具」として意識的に使うこと。そして、ときには意識的に離れること。それがデジタル時代を生きる知恵です。

  • 内なる権威の確立——自分の中に判断の軸を持つ
  • 身体性の回復——五感を通じて「いま」を感じる
  • 影との向き合い——見たくないものを認め、受け入れる
  • テクノロジーとの距離——使うのは自分、という意識を持つ

まとめ——「生きづらさ」を羅針盤に

冥王星水瓶座時代の「生きづらさ」は、時代が大きく変わろうとしているサインです。

約250年前、同じ星の配置のもとで、人々は古い世界を壊し、新しい世界を生み出しました。その過程は混乱に満ちていましたが、その先には新しい社会の形がありました。

いまの「生きづらさ」もまた、古いものが壊れ、新しいものが生まれる途上で感じる「産みの苦しみ」なのかもしれません。

大切なのは、その苦しみに押しつぶされるのではなく、それを自分自身を知るための手がかりにすることです。何が自分を苦しめているのか。何を自分は本当に求めているのか。その問いに向き合うとき、「生きづらさ」は真の自己とつながるための羅針盤になります。

明日から、小さなことを試してみてください。

朝、スマートフォンを見る前に窓を開けて、外の空気を吸ってみる。温かい飲み物を、ゆっくりと味わってみる。散歩の途中で、足を止めて空を見上げてみる。

そんな小さな「リアル」の積み重ねが、揺れる時代を生きるわたしたちの足元を、少しずつ固めてくれるはずです。

あなたが感じている「生きづらさ」は、あなただけのものではありません。そして、それはあなたが時代の変化に敏感であることの証でもあります。

その感覚を大切に、一緒にこの時代を歩んでいきましょう。