大した資格も取れない、就職に有利なわけでもない、大学の文系学部(特に人文系)に行く意味って何なんでしょうか?
文系出身の私からしたら、文系に行くメリットもあると思うけどね…
これから進路を選ぶ高校生の皆さんと、文系大学に進学してはみたけれど大学に行く意味を見失ってしまった大学生の皆さんに向けて、文系出身の私が思う、文系大学に行く意味をまとめてみました。
目次
大学の文系学部に行く意味がわからない!
「大学の文系学部なんか、要らなくない?」
と、工学部の学生に言われたことがあります。
文系・全否定!!!
「そんな失礼な…」と思いますが、これは理系の人たちの本音なんじゃないでしょうか。
文系は無駄という主張
「人文社会系と理系に対する予算配分は「1:9」にすべきだ」という主張もありますし、文科省も人文社会系・教育系の削減を目指す意向*です。
*2018年度の国立大学入学定員、人文社会・教育系で大幅削減
実際、私が通っていた大学では、工学部が最も人数も多くて、過去にはノーベル賞受賞者もいて、予算的にも優遇されているのか、新しいピカピカの校舎でした。
一方の文系学部は古くてボロボロ…。
まあ、理系は実験するのとかに機械が必要だったり事情があるんだろうとは、理解できます。
文系学部は工学部みたいに半導体やロボットを作ったり、農学部みたいに新しい作物を開発したり、医学部・薬学部みたいに人の命を救ったりできません。
その学問やってて、人々の生活を豊かにできるの? ってなったら「ぐぬぬ…」ってなりそう。
あ、理系でも理学部数学科とかは文学部に通じるものがありそうで、勝手な仲間意識があります(笑)
文系は文系でも役に立つ文系と立たない文系がある
それに文系って一括りにしても、経済学部や法学部みたいにビジネスに関係ある分野は「人の生活を良くする」っていう意味は大きいんじゃないでしょうか。
経済活動をするには税理士とか会計士、弁護士、社労士etc…が必要ですし、お金を扱う銀行員とか法律を作る議員や運用する官僚もたいがい文系出身の人たちです。
だから、経済・経営・法学部なら、まだ存在意義が分かります。
教育学部も、学校の先生の育成機関と考えれば、少子化で削減されていくにしても無くなることはないでしょう。
問題なのは、「カネにならない人文系とかどうすんの?」ってことです。
哲学、歴史学、考古学、言語学、文学、文化人類学、民俗学、心理学、etc…
すごい研究結果がでたところで、「で?っていう・・」なのです。
工学部で100倍の電池持ちを実現する新たなバッテリー素材が発見されたら、みんながスマホの電池切れを心配しなくて済む世の中に変わるでしょう。
しかし、文学部で「なんちゃら遺跡を発掘しました!」ってなったとしても、その研究が暮らしを良くしてくれるワケじゃありません。
世間は「おおー!」ってなったり、遺跡まんじゅうが売れたりはするかもしれませんが、そのぐらい。
だから、世間的に役に立つのかっていう意味では、実用度の低い文系学部は意味なし!!ってことになっちゃいます。
かくいう私も、文系学部の出身です。
私が大学で哲学を学んだ理由
私は文系の、しかも選考は哲学という、なんの役にも立たなさそうなところに行ってしまいました。
なぜ文系の哲学コースを選んだかと言うと、正直言って、「楽(らく)そう」だったからです。
文系はぶっちゃけ楽そう
理系は実験で研究室に泊まり込みは当たり前、教授の言うことは絶対な体育会系、しかも男子ばっかり…というイメージがあり、文系の方が楽そうだなあと思っていました。
あと、受験科目の化学が苦手だったのもあります。学問としては面白いし好きだったのですが、計算がからきしダメで、molとかその辺で挫折しました。
それで文系の教育学部に進んだのですが、3年で更にコースを選択することになります。
私は教育心理学とか教育政策とかだと実験とかゼミとかめんどくさそうだなーと思ったので、本を読めば卒論が書ける哲学のコースを選びました。
決め手になったのは、『鬼仏表(きぶつひょう)』という、担当教官が厳しい(鬼)か甘い(仏)かのリストでした。
哲学コースの先生の欄には「ド仏」と書いてありました。
文系なら卒業できる
講義もゼミもほとんど睡眠学習でしたが、どうにか卒業させてもらえました。
そんなヤル気のない学生でしたので、哲学の本は入門書とか解説本をパラパラと読んだだけで、さっっぱり分かりませんでした。
それから10年以上経って、精神的にすこし成長して、いろんなことを考えるようになった今は、哲学の面白さがよく分かります。
ともかく、私は文系=楽!!という理由で選んだダメ学生だったのです。
楽に卒業したい人は、文系の方が絶対に良いとは断言できます。
もちろん文系でも厳しい先生は厳しいですが、理系の単位のシビアさにはとうてい及びません。
というわけで、学生の頃は楽することしか考えてなかったので、今改めて「文系大学に行く意味」を考えてみました。
私が思う文系大学に行く意味
楽そうだから、という不純な動機で選んだ文系学部でしたが、通ってみたら学べることはいっぱいありました!
1.教養は人生を豊かする
まず声を大にして言いたいのは、「役に立つことが全て」ではないってことです。
- 義務教育なんか社会に出てから役に立たない
- 高校で全員に数学やらせてなんの意味があるんだ
- 英語を使う機械がないのになんで英語やらなきゃいけないの?
「役に立つかどうか」という基準で考えたら、最低限の文字の読み方とか、お釣りをごまかされない程度の計算力をつけるくらいで良いでしょう。
ですが、学生の時にはどうせ役に立たないだろうと思っていたことが、大人になってから「勉強してて良かったなあ」と思うことが多々あります。
直接何かの役に立つとか、お金になるってことではないんですけど、思考の幅が広がるというか、一つの物を見て得られる情報が増えるのです。
例えば、「りんご」を見たとき、何を思うでしょうか。
義務教育を終えていれば、算数の知識で「1袋に5個入りだな」と分かりますし、「青森産」と書いてあれば青森県がどこだか分かります。
文字が読めるのはもちろん国語をやったからですね。
文系の大学に行くと、更にこんな見方もできるようになります。
- 「ringo」や「apple」という音がりんごを指すのに必然性はあるか? (哲学)
- 日本人がイメージする「りんご」とイギリス人がイメージする「りんご」の違いは?(比較文化人類学)
- 物語上で「りんご」は何を象徴するのか?(文学)
- 幼児はどのように「りんご」という言葉を覚えて話すようになるか?(教育学)
- 「りんご」の「ご」とゴリラの「ご」の発音の違い(言語学)
こんな風に、いろんな見方ができるんですね。
だからそれがなんの役に立つの? って言うと、直接は役には立たないことがほとんどです。
でも、「人によって言葉からイメージするものが違うんだな」という発想を持っていると、コミュニケーションを丁寧にするよう気をつけることができます。
「国が変われば文化が全く逆になることもある」と知っていれば、外国人の違反な振る舞いにもいちいちイライラしないで済みますし、日本人同士結婚して家事のやり方でモメたときも「文化が違うんだな」と許せるようになります。
または、「この映画、ときどき赤いバラの花が出てくるけど、何を象徴しているんだろうな?」「これは聖書に出てくるモチーフだなあ」などと、映画や小説をより楽しむこともできます。
教養は、思わぬところで生活を豊かにしてくれるのです。
2.遊びまくる経験も必要
これを言っちゃうと各方面から怒られそうですが、文系学部は楽です。
もちろん、文系でも心理学みたいに実験があったり、遺跡の発掘とかフィールドワークとか、ハードなところもあると思います。
本当にお疲れさまです、尊敬します。素晴らしい。
ただ、楽をしようと思えば楽できるのは事実です。
だから上手いこと楽な教官のゼミに入れれば、それはもう、いっぱい遊べます!!!
「親に学費を出してもらって4年間遊ぶなんてケシカラン!」と言う人もいらっしゃるでしょう。ごめんなさい。
が、私は、こんなヒマで体力も有り余ってるのは大学生のうちぐらいなんだから、ガンガン遊ぼうぜ!って思います。
社会人になっちゃうと、休みもないわけじゃないのですが、会社の一因としての責任がありますからハメを外したり、頭のおかしいことはやりづらくなります。
青春18きっぷで何日も電車に揺られたり、マクドナルドのハンバーガー大食い大会やったり、合コンしまくったり、バイトしまくって服を買いまくったり。
バカだったけど、学生のうちにバカやっておけたのは良かったなあと思います。
バカなことも思いっきりやってこそ、飽きて卒業できるんじゃないでしょうか。
今はお酒もお買い物も、合コンも、あんだけやったからもういいや、という気分です。旅はまだしたいけど。
3.多様な価値観に触れる
大学には、いろんな価値観の面白い教授とか院生の先輩とかがいっぱいいます。
- 地下鉄なんかダメだ!って言って路面電車の復刻を訴える教授
- 専門は全然関係ないのに、趣味が高じてマヤ文字の講義してる教授
- 個性豊かな外国人の先生たち
- 急に能の舞いを披露しはじめる先輩
- 虫のブログをめっちゃ書いてる先輩
などなど。
あと、大学の先生はけっこう人間的にダメな人が多いです(笑)
もちろん立派な先生も大勢いらっしゃるのですが、すっごい気分で少し機嫌を損なうと単位くれなかったり、他の先生の悪口をボロクソに言ったり。
会社に就職してからだと、ある程度似てる人が集まっちゃうので、大学っていうのは色んな価値観の人に触れるチャンスだと思います。
自分の常識や思い込みがぶち壊されて世界が広がる経験になると思います。
これは文系に限ったことじゃありませんけどね。
学問として無駄な文系。だがそれがいい。
乱暴にまとめると、こんな感じ。
理系
必要に駆られて研究するもの、役に立つもの、
生活を物理的に豊かにしてくれるもの
文系
どうでも良いもの、暇人の道楽、
生活を精神的に豊かにしてくれるもの
文系の学問って、生活がある程度豊かで、ゆとりがあってこそできる道楽だと思うんですよね。
衣食住が足りているからこそ、ヒマになってエンターテインメント的に知的欲求を充したくなる。
だから、大学の文系学部で学ぶことは、純粋に面白いことなのです。
文系学部を全てぶっ潰しても、おそらく最低限生きるのに困ることはないでしょう。
しかし、人々はきっと、ヒマだから勝手に文系学部っぽい知的な活動をし始めると思います。
工学部の男子学生だって、村山由佳の恋愛小説を読むんですから。
と、みなさんが心配されるのはそこじゃなくて、文系に進んで就職できるのんかい?ってとこですよね。
非・実用文系の就職活動
法学部とか経済学部を出ていれば就職や公務員試験に役立つのは当然ですが、純粋な道楽は就職に役立つのでしょうか?
御察しの通り、ほぼ役には立ちません!
アメリカ映画『私がクマにキレた理由』では、文化人類学を学んだ学生が就職に失敗し、ベビーシッターになる様が描かれています。
日本でもあんまり変わらないと思って良いでしょう。
ちなみに、私の同級生は、公務員・教員になる人が半分、企業に就職する人(電力会社、地銀)は3割くらい、あとは院に進学したり、他の大学を受け直したり、どっかに消えたり(!)でした。
地方の国公立大文系なら、地元の企業だったら人文系でもネームバリューだけで行けます。
しかし「経済学部と法学部以外の人はお帰りください」と説明会から追い出す銀行もありました。
東京に出て行くと風当たりがまったく違う印象でした。地元だと「○○だい教育学部です」っていうと「おお、優秀なんだね」ですが、東京の就活だと「え、どこよそれ?」って感じ。
時頭とコミュ力がある人は大きい会社にも受かってましたが、けっこう苦戦する人も多かったです。
人文系学部の最後のセーフティーネットが塾講師・家庭教師です。私はこのパターンでした(笑)。
家庭教師バイトとか非常勤をやりながら公務員試験や教員採用試験を受け直す人もいました。
文系の大学に行く意味まとめ
文系大学に行く意味は、ぶっちゃけ「道楽」でしかないと思います。
純粋にその研究が好きで楽しむものであって、就職に役立つとかそういうものではありません。
就職のために大学に行くという人は、文系は文系でも経済学部とか法学部とか、少しでもビジネスに役立ちそうなところを選ぶのが良いでしょう。
すでに役に立たない文系大学に入ってしまってしんどい人は、開き直って思いっきり楽しんだら良いと思います。
無駄なことも全力でやって極めようとすると成長できますし、人生が豊かになっていきますから。
しかし大学で遊び倒した後は、就職が待っています…!!
大学1年から始まる第二外国語も、どうせなら就職のときに話せると有利になる言語を選んでおいた方がお得です。
ビジネス・就職に有利な外国語ベスト5、社会人が選んでおけばよかったと公開する第二外国語ナンバーワンとは?
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https://omo-kichi.com/dainigaikokugo-business-osusume/” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]理数系の科目が苦手で文系大学にしか行けないけれど、文系なんて大学に行ってまで学ぶ意味が分からないよ。
資格が取れる専門学校にでも行った方が良いのかなあ?[/chat]
これから進路を選ぶ高校生の皆さんと、文系大学に進学してはみたけれど大学に行く意味を見失ってしまった大学生の皆さんに向けて、文系出身の私が思う、文系大学に行く意味をまとめてみました。
大学の文系学部に行く意味がわからない!
「大学の文系学部なんか、要らなくない?」
と、工学部の学生に言われたことがあります。
文系・全否定!!!
そんな失礼な、と思いますが、これは理系の人たちの本音なんじゃないでしょうか。
文系は無駄という主張
「人文社会系と理系に対する予算配分は「1:9」にすべきだ」という主張もありますし、文科省も人文社会系・教育系の削減を目指す意向*です。
*2018年度の国立大学入学定員、人文社会・教育系で大幅削減
実際、私が通っていた大学では、工学部が最も人数も多くて、過去にはノーベル賞受賞者もいて、予算的にも優遇されているのか、新しいピカピカの校舎でした。一方の文系学部は古くてボロボロ…。
まあ、理系は実験するのとかに機械が必要だったり事情があるんだろうとは、理解できます。
文系学部は工学部みたいに半導体やロボットを作ったり、農学部みたいに新しい作物を開発したり、医学部・薬学部みたいに人の命を救ったりできません。
その学問やってて、人々の生活を豊かにできるの? ってなったら「ぐぬぬ…」ってなりそう。
あ、理系でも理学部数学科とかは文学部に通じるものがありそうで、勝手な仲間意識があります(笑)
文系は文系でも役に立つ文系と立たない文系がある
それに文系って一括りにしても、経済学部や法学部みたいにビジネスに関係ある分野は「人の生活を良くする」っていう意味は大きいんじゃないでしょうか。
経済活動をするには税理士とか会計士、弁護士、社労士etcが必要ですし、お金を扱う銀行員とか法律を作る議員や運用する官僚もたいがい文系出身の人たちです。
だから、経済・経営・法学部なら、まだ存在意義が分かります。
教育学部も、学校の先生の育成機関と考えれば、少子化で削減されていくにしても無くなることはないでしょう。
問題なのは、カネにならない人文系とかどうすんの? ってことです。
哲学、歴史学、考古学、言語学、文学、文化人類学、民俗学、心理学、etc…
すごい研究結果がでたところで、「で?っていう」なのです。
工学部で100倍の電池持ちを実現する新たなバッテリー素材が発見されたら、みんながスマホの電池切れを心配しなくて住む世の中に変わるでしょう。
しかし、文学部で「なんちゃら遺跡を発掘しました!」ってなったとしても、その研究が暮らしを良くしてくれるワケじゃありません。
世間はおおーってなったり、遺跡まんじゅうが売れたりはするかもしれませんが、そのぐらい。
だから、世間的に役に立つのかっていう意味では、実用度の低い文系学部は意味なし!!ってことになっちゃいます。
かくいう私も、文系学部の出身です。
私が大学で哲学を学んだ理由
私は文系の、しかも選考は哲学という、なんの役にも立たなさそうなところに行ってしまいました。
なぜ文系の哲学コースを選んだかと言うと、正直言って、「楽そう」だったからです。
文系はぶっちゃけ楽そう
理系は実験で研究室に泊まり込みは当たり前、教授の言うことは絶対な体育会系、しかも男子ばっかり…というイメージがあり、文系の方が楽そうだなあと思っていました。
あと、受験科目の化学が苦手だったのもあります。学問としては面白いし好きだったのですが、計算がからきしダメで、molとかその辺で挫折しました。
それで文系の教育学部に進んだのですが、3年で更にコースを選択することになります。
私は教育心理学とか教育政策とかだと実験とかゼミとかめんどくさそうだなーと思ったので、本を読めば卒論が書ける哲学のコースを選びました。
決め手になったのは、『鬼仏表(きぶつひょう)』という、担当教官が厳しい(鬼)か甘い(仏)かのリストでした。
哲学コースの先生の欄には「ド仏」と書いてありました。
文系なら卒業できる
講義もゼミもほとんど睡眠学習でしたが、どうにか卒業させてもらえました。
そんなヤル気のない学生でしたので、哲学の本は入門書とか解説本をパラパラと読んだだけで、さっっぱり分かりませんでした。
それから10年以上経って、精神的にすこし成長して、いろんなことを考えるようになった今は、哲学の面白さがよく分かります。
ともかく、私は文系=楽!!という理由で選んだダメ学生だったのです。
楽に卒業したい人は、文系の方が絶対に良いとは断言できます。
もちろん文系でも厳しい先生は厳しいですが、理系の単位のシビアさにはとうてい及びません。
というわけで、学生の頃は楽することしか考えてなかったので、今改めて「文系大学に行く意味」を考えてみました。
私が思う文系大学に行く意味
楽そうだから、という不純な動機で選んだ文系学部でしたが、通ってみたら学べることはいっぱいありました!
1.教養は人生を豊かする
まず声を大に言いたいのは。「役に立つことが全て」ではないってことです。
- 義務教育なんか社会に出てから役に立たない
- 高校で全員に数学やらせてなんの意味があるんだ
- 英語を使う機械がないのになんで英語やらなきゃいけないの?
「役にたつかどうか」という基準で考えたら、最低限の文字の読み方とか、お釣りをごまかされない程度の計算力をつけるくらいで良いでしょう。
ですが、学生の時にはどうせ役に立たないだろうと思っていたことが、大人になってから「勉強してて良かったなあ」と思うことが多々あります。
直接何かの役に立つとか、お金になるってことではないんですけど、思考の幅が広がるというか、一つの物を見て得られる情報が増えるのです。
例えば、「りんご」を見たとき、何を思うでしょうか。
義務教育を終えていれば、算数の知識で「1袋に5個入りだな」と分かりますし、「青森産」と書いてあれば青森県がどこだか分かります。
文字が読めるのはもちろん国語をやったからですね。
文系の大学に行くと、更にこんな見方もできるようになります。
- 「ringo」や「apple」という音がりんごを指すのに必然性はあるか? (哲学)
- 日本人がイメージする「りんご」とイギリス人がイメージする「りんご」の違いは?(比較文化人類学)
- 物語上で「りんご」は何を象徴するのか?(文学)
- 幼児はどのように「りんご」という言葉を覚えて話すようになるか?(教育学)
- 「りんご」の「ご」とゴリラの「ご」の発音の違い(言語学)
こんな風に、いろんな見方ができるんですね。
だからそれがなんの役に立つの? って言うと、直接は役には立たないことがほとんどです。
でも、「人によって言葉からイメージするものが違うんだな」という発想を持っていると、コミュニケーションを丁寧にするよう気をつけることができます。
「国が変われば文化が全く逆になることもある」と知っていれば、外国人の日本ではマナー違反な振る舞いにもいちいちイライラしないで済みますし、日本人同士結婚して家事のやり方でモメたときも「文化が違うんだな」と許せるようになります。
または、「この映画、ときどき赤いバラの花が出てくるけど、何を象徴しているんだろうな?」「これは聖書に出てくるモチーフだなあ」などと、映画や小説をより楽しむこともできます。
教養は、思わぬところで生活を豊かにしてくれるのです。
2.遊びまくる経験も必要
これを言っちゃうと各方面から怒られそうですが、文系学部は楽です。
もちろん、文系でも心理学みたいに実験があったり、遺跡の発掘とかフィールドワークとか、ハードなところもあると思います。
本当にお疲れさまです、尊敬します。素晴らしい。
ただ、楽をしようと思えば楽できるのは事実です。
だから上手いこと楽な教官のゼミに入れれば、それはもう、いっぱい遊べます!!!
親に学費を出してもらって4年間遊ぶなんてケシカランと言う人もいらっしゃるでしょう。ごめんなさい。
が、私は、こんなヒマで体力も有り余ってるのは大学生のうちぐらいなんだから、ガンガン遊ぼうぜ!って思います。
社会人になっちゃうと、休みもないわけじゃないのですが、会社の一因としての責任がありますからハメを外したり、頭のおかしいことはやりづらくなります。
青春18きっぷで何日も電車に揺られたり、マクドナルドのハンバーガー大食い大会やったり、合コンしまくったり、バイトしまくって服を買いまくったり。
バカだったけど、学生のうちにバカやっておけたのは良かったなあと思います。
バカなことも思いっきりやってこそ、飽きて卒業できるんじゃないでしょうか。
今はお酒もお買い物も、合コンも、あんだけやったからもういいや、という気分です。旅はまだしたいけど。
3.多様な価値観に触れる
大学には、いろんな価値観の面白い教授とか院生の先輩とかがいっぱいいます。
- 地下鉄なんかダメだ!って言って路面電車の復刻を訴える教授
- 専門は全然関係ないのに、趣味が高じてマヤ文字の講義してる教授
- 個性豊かな外国人の先生たち
- 急に能の舞いを披露しはじめる先輩
- 虫のブログをめっちゃ書いてる先輩
などなど。
あと、大学の先生はけっこう人間的にダメな人が多いです(笑)
もちろん立派な先生も大勢いらっしゃるのですが、すっごい気分で少し機嫌を損なうと単位くれなかったり、他の先生の悪口をボロクソに言ったり。
会社に就職してからだと、ある程度似てる人が集まっちゃうので、大学っていうのは色んな価値観の人に触れるチャンスだと思います。
自分の常識や思い込みがぶち壊されて世界が広がる経験になると思います。
これは文系に限ったことじゃありませんけどね。
学問として無駄な文系。だがそれがいい。
乱暴にまとめると、こんな感じ。
理系
必要に駆られて研究するもの、役に立つもの、
生活を物理的に豊かにしてくれるもの
文系
どうでも良いもの、暇人の道楽、
生活を精神的に豊かにしてくれるもの
文系の学問って、生活がある程度豊かで、ゆとりがあってこそできる道楽だと思うんですよね。
衣食住が足りているからこそ、ヒマになってエンターテインメント的に知的欲求を充したくなる。
だから、大学の文系学部で学ぶことは、純粋に面白いことなのです。
文系学部を全てぶっ潰しても、おそらく最低限生きるのに困ることはないでしょう。
しかし、人々はきっと、ヒマだから勝手に文系学部っぽい知的な活動をし始めると思います。
工学部の男子学生だって、村山由佳の恋愛小説を読むんですから。
と、みなさんが心配されるのはそこじゃなくて、文系に進んで就職できるのんかい?ってとこですよね。
非・実用文系の就職活動
法学部とか経済学部を出ていれば就職や公務員試験に役立つのは当然ですが、純粋な道楽は就職に役立つのでしょうか?
御察しの通り、ほぼ役には立ちません!
アメリカ映画『私がクマにキレた理由』では、文化人類学を学んだ学生が就職に失敗し、ベビーシッターになる様が描かれています。
日本でもあんまり変わらないと思って良いでしょう。
ちなみに、私の同級生は、公務員・教員になる人が半分、企業に就職する人(電力会社、地銀)は3割くらい、あとは院に進学したり、他の大学を受け直したり、どっかに消えたり(!)でした。
地方の国公立大文系なら、地元の企業だったら人文系でもネームバリューだけで行けます。
しかし「経済学部と法学部以外の人はお帰りください」と説明会から追い出す銀行もありました。
東京に出て行くと風当たりがまったく違う印象でした。地元だと「○○だい教育学部です」っていうと「おお、優秀なんだね」ですが、東京の就活だと「え、どこよそれ?」って感じ。
時頭とコミュ力がある人は大きい会社にも受かってましたが、けっこう苦戦する人も多かったです。
人文系学部の最後のセーフティーネットが塾講師・家庭教師です。私はこのパターンでした(笑)。
家庭教師バイトとか非常勤をやりながら公務員試験や教員採用試験を受け直す人もいました。
文系の大学に行く意味まとめ
文系大学に行く意味は、ぶっちゃけ「道楽」でしかないと思います。
純粋にその研究が好きで楽しむものであって、就職に役立つとかそういうものではありません。
就職のために大学に行くという人は、文系は文系でも経済学部とか法学部とか、少しでもビジネスに役立ちそうなところを選ぶのが良いでしょう。
すでに役に立たない文系大学に入ってしまってしんどい人は、開き直って思いっきり楽しんだら良いと思います。
無駄なことも全力でやって極めようとすると成長できますし、人生が豊かになっていきますから。
しかし大学で遊び倒した後は、就職が待っています…!!
大学1年から始まる第二外国語も、どうせなら就職のときに話せると有利になる言語を選んでおいた方がお得です。
ビジネス・就職に有利な外国語ベスト5、社会人が選んでおけばよかったと公開する第二外国語ナンバーワンとは?
おすすめの第二外国語を今すぐチェック!
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。管理人の佐藤想一郎と申します。
私が執筆しました、レポート『Cycle(サイクル)』では、今まであまり語られることのなかった〝引き寄せの法則の、もう1つの側面〟について書いています。
・「ワクワク」のダークサイド(暗黒面)とは
・9割の人が見落とす〝引き寄せられない〟根本原因
・想像すら超えた未来を引き寄せる、運命を変える秘訣
といったことにも触れています。
よろしければ読んでみてくださいね。
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