体を整える

冬の鍋に溶けているのは?令和の今こそ大切にしたい温かさの話

寒いと、何となくだるくなりませんか? 
テンションが低くて、気力が出てこない。 
もっと毎日を元気よく過ごしたいけれど、寒い時期は身体がだるい。何をするにもおっくうになってしまう。 

私もそうでした。

せめて、ご飯だけはちゃんと食べようと思うけれど、面倒くさいという気持ちの方が強い。でも、ある時からちゃんと料理を作るようになりました。 
私の経験談をご紹介しますね。

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同僚が作ってくれた、みぞれ鍋

私がひとり暮らしをしていた頃のお話です。

その当時、都内の広告代理店に勤めていました。 
朝早くから乗客でいっぱいの満員電車に乗り、会社に着くとへとへと。 
ご飯を食べる時間も気力もありませんでした。

低血圧なので、冬になるとさらにテンションが低くなります。 
青白い顔をしていたらしく、「具合が悪いの?」「大丈夫?病院に行って来た方がいいんじゃない」と、会社の人から言われました。

でも、特に自覚症状があるわけでもないですし、ただ単に気力が出てこないだけなのです。「私は低血圧ですから、冬はいつもこんな感じなんですよ」と言って、笑いながら適当にごまかしていました。

でも、大雨が降った次の日、珍しく熱を出してしまったのです。 
家に帰る途中、強い風のせいで傘が壊れてしまい、濡れて帰ったのが良くなかったのでしょう。 
ものすごく疲れていたので、ご飯もろくに食べずお風呂に入りそのまま寝てしまいました。

朝起きるとのどが痛い。寒気もする。おでこに手を当てると何だか熱いのです。 
会社に電話をして、休むことを伝えました。 
たまたま、その電話に出た人は私の体調をいつも気遣ってくれるHさん。

「ちゃんとご飯食べたの?」
「その辺にあるものをつまんだから、大丈夫」(本当はお菓子をかじっただけ) 
「ちゃんと水分を取ってね。あったかくして寝るのよ」(まるっきり母親) 
「分かってます」(全然聞いていません)

その後もHさんは何か色々言っていたけれど、だるくてめんどうくさくなった私は、生返事をして、電話を切りました。

とりあえずうがいをして、少しだけお水を飲み布団にもぐり込みました。ぼんやりした頭で色々考えている内に眠ってしまったようです。

目が覚めたのは、夕方の4時。8時間ほど眠ったらしい。 
まだ少し喉は痛いけれど、気分はすっきりしていました。念のために熱をはかってみると下がっています。ほっとしました。

「お腹が空いたなあ」
昨日の夜からお菓子しか食べていないので、お腹がグーグー鳴っています。熱が下がったとはいえ、何か作る気にもなれません。 
今ならネット注文で届けてもらうことも出来ますが、その頃は携帯がなかった時代ですから無理。

困ったなあと思いながら布団の中でグダグダしていると、インターホンが鳴りました。 
「?」首をかしげながら訪問者を確認すると、Hさんだったのです。

「え?どうしたの?なんで?」びっくりしてしどろもどろになる私。 
「絶対ご飯食べてないだろうと思って、色々持ってきたの。台所を借りるね」スーパーのビニール袋を2つも下げているHさん。

「あったかいものを作るから、休んでてね」
野菜、くだもの、ジュースにスポーツドリンク。プリンとゼリーまでありました。小さな冷蔵庫が一杯になったのを、今でも思い出します。

布団に戻り、Hさんが台所で包丁を使っている音を聞いていました。じわじわと嬉しさがこみ上げてきます。

自分のことをこんなに心配してくれる人がいる。
適当な返事しかしなかったのに、わざわざ自宅まで来てくれた。しかもご飯まで作ってくれるなんて、想像していませんでした。

「はいお待たせ。できたよ。お腹空いたでしょう」 
魚の絵が描いてある鍋が、小さなテーブルに置かれました。おしょうゆの匂いが胃袋を刺激します。お腹がものすごく大きな音を立てました。ああ、恥ずかしい。

笑いながらHさんは、鍋のフタを取りました 
湯気の下から見えたのは、真っ白なもの。 
「何これ?」 
「大根おろし。みぞれ鍋っていうのよ」 
初めて食べました。

おしょうゆ味のだし汁に、きのこと鶏肉、ほうれん草が入っています。 
食べる直前に大根おろしを山ほど作って、具が見えなくなるくらい入れたとのこと。

「雪みたいでしょう?だからみぞれ鍋」 
説明しながら、お椀によそってくれました。 
アツアツのだし汁に大根おろしを溶かすようにして食べると、煮込まれた鶏肉にからみ、さっぱりとした味わいが広がりました。

おいしかった。 

むさぼるように食べて、勧められるままお代わりしました。汗をかくくらい身体が温まり、エネルギーが湧いてくるのを感じたのです。

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大事なこと

私は冬になると鍋ばかり作っています。
それは、Hさんの優しさを思い出すから。
彼女は、半日有給を取ってまで来てくれたのです。

あの時に食べた「みぞれ鍋」以上に美味しいものはありません。 
それは、Hさんの人柄そのものが溶け込んでいるからでしょう。

体調不良で気分も落ちている私を元気づけようとしてくれるその気持ちが、何よりも嬉しかった。
 
「迷惑をかけちゃって、ごめんなさい」 
「全然大丈夫よ。気にしないで。早く元気になってね」 
下を向いて、涙が落ちないように隠すのが精一杯でした。

鍋を作るたびに、Hさんの笑顔が思い浮かびます。 
ありがとう。 
感謝の気持ちしかありません。

それ以来、鍋料理は私にとって特別なものになりました。 
単に、おいしいとか、野菜がたくさん取れるというだけではありません。 
温かい思いがそこに込められているからです。

いつかHさんのように、心にも沁みるようなお料理を作りたい。
そう思っています。

去年からずっと、ステイホーム、リモート、ソーシャルディスタンス、3密を避ける、などの言葉が目立っています。
令和は人との距離が離されがちな風潮ですが、心の距離までは離さずにいたいですね。

ABOUT ME
あけみん
読むこと、書くこと、食べることが大好き。 30年のサラリーマン生活を脱出してフリーランスに転向しました。 人生が変わるきっかけになったのが、佐藤想一郎さんとの出会いです。 縁を大事にしながら、読む人を応援する文章を書いていきます。
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