自分本位は自己中心的で利己的なうざい人、と言われる一方で、流されずに自分本位な生き方をしましょう、という意見もあります。
自分本位にもいい面があって、時には自分本位になることも必要…って、結局どうすればいいのでしょうか!?
自分本位って結局、良いのか悪いのか、今回は「自分本位に生きる」を考えてみたいと思います。
まずは、「自分本位」に関する代表的な主張を見てみましょう。
目次
自分本位にまつわる主張
自分本位な考え方をする人は、ガン細胞と一緒!
トップや幹部の考え方は、確実に組織風土の形成に影響を及ぼすものである。「自分さえ良ければいい」と考える人が上に立つと、必ず”自分本位”な人間の集団と化すこと間違いない。
“自分本位”な考え方をする人間とは、ガン細胞と一緒で、組織にとって危険極まりない存在である。組織の中に、自分の都合や自分の利益、自分の出世や立場を優先して考える価値観が横行してしまうと、組織風土は悪化し、「組織のために、お客様のために」という考えはなくなってしまう。
上に立つ人が自分本位的だと、下の人もみんな「もらいたい」マインドになって、お客さんや周りの人に「あたえる」ことをしなくなってしまいますよ、という耳の痛いお言葉ですね。
一方で、影響を受けすぎて上手く行かない人に向けて、こんなアドバイスをする方もいらっしゃいます。
自分本位は、他人の評価に左右されない生き方
もし、誰かの自分に対する言葉であったり、態度、自分に対しての評価・・・などに自分の気持ちが左右されたり、動揺してしまうことがあるならば・・・そこには何かしらの原因がありそうな気がします。
それは何かというと、自分というものの評価を他人に委ねていること・・・なのかもしれません。それは他人本位で生きるということ、他人の評価に依存して生きることになってしまうと・・・思うんです。
(中略)
でも、それをやってしまうと、自ずと他人の言動に傷つきやすくなると、ある時気づきました。今、僕はもっと自分本位に生きてもいいのかなと思っています。
自分本位に生きることは、わがままに生きるとか、自分勝手に振る舞うということではなくて、自分の評価は自分で決めるという生き方なんだと思うんです。
他人の意見や評価を受け入れすぎると、依存になって傷づくことになる。だから、もっと自分本位になろう、ということです。
自分本位には、良い部分もある。でも自分本位のわがまま、好き勝手はだめ、と。
自分本位は、場合による
自分本位の意味は、自分のことだけを優先的に考えて、他の人を気にかけないような考えや行動をとることです。そのため、他人に生き方を嫌がれることが多くあり、自分本位な性格は改善した方が良いといえます。
一方で、場面によっては自分本位な考えや行動をとることが必要になることもあります。全ての判断、考えなどを相手優先にするのではなく、自分も相手も幸福になるような方法を思案することが大切です。
自分本位は時と場合によっては必要で、相手も自分も両方が良くなることを考えるべき、ということですね。
ちょっと、整理してみましょう。
自分本位と影響度の図
先程の、組織を悪くする自分本意なリーダーの例と、人から言われたことに傷ついてしまう人の例では、「人に対する影響力」にだいぶ差があるようです。
そこで、自分本位ー他人本位と、影響力の強いー弱いを、表にして分類してみました。
まずは、こちらの図をご覧ください。
残念な自分本位1・支配者気質
まずは組織のガン、自分本意な経営者というのは図で言うと右下の「支配者」です。
周囲に強い影響力を持っていて、なおかつ自分本位に考え、行動します。
そんな人が経営者ならば、部下もお客さんも、家族でさえも、自分が徳をするために使おうとする、冷たく利己的なサイコパス気質とも言えます。
実際、このタイプは人をコントロールできて統率力があるため、経営者や政治家にも多く見られます。
政治家で代表的なのは、ヒトラー。カリスマ的な演説で人々を扇動しました。
残念な自分本位2・依存者気質
二つ目の事例は、他人本位だと他の人の意見で傷ついてしまうから、もっと自分本位に生きよう、としている方でした。
しかしこの表による分類では、他人本位な人ではなく、影響力が弱いだけの自分本位だと思われます。
なぜなら、「自分が傷つきたくない」というのは、紛れもなく自分中心の欲求だからです。
安定・安心したい、常識から外れたくない、嫌われたくない、自分を守りたい…などなど、自分のために人に合わせる、言うなれば「隠れ自己中」ですね。
実際に世の中のほとんどの人がそうだと思いますが、残念ながらこのブロックの人々は、あっという間に支配者気質の人の餌食になってしまいます。
たとえば「就職活動は、エージェントに登録して、合同説明会に参加して、スーツは黒で…」などという既存のシステムや、リーダーシップを発揮している支配者気質の人が経営する会社に巻き込まれることになります。
なので、もしも他の人から言われたことに一々傷つかないようにするには、正確に言うと影響力を強くする必要があります。
残念な他人本位・ただの良い人
ちなみに依存気質の人が他人本位になると、図の左上に行きます。
純粋に人のことを考えていて、思いやりと愛にあふれた、宗教家のようなタイプがこちらに当てはまります。
他人本位にレベルアップすると、もう「自分が傷つく」ことでは悩みません。本当に皆のことしか考えていないからです。
というよりも「自分」と「他人」の区別がなくなっているという感覚が近いかもしれません。
一言で表すと、器の大きな「ものすごくいい人」ですね。いじめられても、騙されても、相手を理解して全て本心から許してしまう人です。
自分では何もできません、というスタンスなのに、なぜか運よく成功してしまったり、協力者がめちゃくちゃ多く集まります。
有名人で言うと、実在はしませんがフォレスト・ガンプ。能力はなくても成功してしまうという典型的なキャラクターです。
影響力の強い他人本位=真の自分本位
では、図の右上はどうなるかというと、かなり精神性の高い人になります。
本気で世のため人のためを思っていて、かつ世界に大きな影響力を持ってしまう人たちがここに該当します。
他人=自分になっているので、他人本位ですが、同時に究極の自分本位でもあります。
テクニカルに「win-winを目指そう」と考えるのではなく、人に喜ばれることが自分の喜びであり、純粋に人に役立とうとしか考えていません。
しかし、ここの人たちがいわゆる「良い人」であるとは限りません。
自分の信念のためなら、人からどう思われようと構わないと思っているので、使命と違うと思ったらどんな儲け話でも断りますし、どんな権威のある人にも屈しません。
『嫌われる勇気』を体現している人たちです。
すごい人たちなのですが、「自分が目立ちたい」とか「自分がお金持ちになりたい」のような欲望が無いので、あんまり表にでていなかったりもします。
タイプに寄って異なる課題と修行法
最終的に目指すべきは、右上の「真の自分本位」ではないかと思います。
みんなが他人本位で自分の周りも幸せにしようとする世界になれたら、素敵ではないですか?
真の自分本位に到達するには、今いるマスによって修行方法がかわってきます。
自分は人からあんまり影響されないなと思う人は、右下ダメ自分本位に落ちないように、他人本位を目指しましょう。
逆に、人から影響を受けやすくて、すごく人のことを思っているんだけれど、人に影響を与えられていないなあと思う人は、影響力をパワーアップしていけばよいわけです。
依存的になりがちで、人の言うことをきにするんだけど、結局は自分が嫌われたくないだけだなあ、と思う人は、両方バランスよく伸ばしていく必要があります。
では、「真の自分本位」になるために、他人本位と影響力は具体的にどのようにトレーニングできるのか?
私も修行中ですが、いろいろ勉強して実践していることをご紹介したいと思います。
他人本位になるトレーニング
祈る
「祈り」は、他人本位になるための体力づくりのようなものです。
いつも自分のことで不安や悩みを抱えていると、周りの人なんかどうでもいいような気がしてしまうんですよね。
周りの人の笑顔を思い浮かべて、本気で幸せを祈っていると、不思議と穏やかな気持になれます。
毎朝、起きた時に朝日に向かって、または神棚や仏壇の前で、祈ってみましょう。
「今日も一日、みんなが良くなりますように」
微笑みを絶やさない
次に、いつも微笑んでいることを心がけましょう。
何もしていなくても、あなたが笑顔でいるだけでその場の雰囲気は明るくなり、周りの人も良い気分になるでしょう。
嫌なことや悲しいことがあっても、無理矢理にでも微笑んでみると、気持ちは上向いてきます。
ちょっと深刻な顔をしているのに気づいたら口角をキュッと上げてみましょう。
感謝する
他人に意識を向けるには、「感謝」も強力な方法です。
小さなことでも、誰かがしてくれたことや、受け取っている豊かさに感謝してみましょう。
なかなか思いつかないなあ、という方は、「感謝日記」を書いてみてください。
夜寝る前に、今日起こった良い出来事や、嬉しかったこと、感謝したいことをノートに3つ書き出します。
続けているうちに、普段から周りの人や世の中の知らない人に助けられていることに気付けるようになりますよ。
お役立ちチャレンジ
やってみたい人は、大切な人のためにお役立ちできることを考えて全部やる「お役立ちチャレンジ」も試してみてください。
ノートに、家族や恋人など大切な人、また、お客さんや職場の人、ビジネスパートナーなど仕事で関わっている人の名前と、その人のために自分ができることを「全部」書きます。
たとえば、家族なら、こんなことがあるかもしれません。
- 朝は爽やかに「おはよう」と挨拶する
- 食事を丁寧につくる
- 共用スペースをきれいに使う
- ケンカになったときは自分がゆずってあげる
- 仕事や勉強に、口を出さずに応援する
お客さんなら…
- ◯◯さんを紹介する
- 役立ちそうな情報を伝える
- 期待を超える商品やサービスを提供する
- 連絡する時間や方法を配慮する
- 自分の仕事スキルや知識を磨く
注意点としては、「やってあげたぜ!」と自己満足にならないように、相手が本当に求めていることは何なのか、それはなぜなのかを、深く考える必要があります。
また、何か1つ行動したら、ちゃんと相手の反応を見ながら軌道修正していきましょう。
これをやると、かなり自分本位が撲滅されます。大変ですが、効果は保証します。
影響力を上げるトレーニング
自分の考えを疑う
影響力を高めるには、まずは、ちょっと「ひねくれ者」になる必要があります。
学校では、「1+1=2 ですよ」と教わったら、それを素直に覚えた方が良かったのですが、影響力を強めるには、その逆をやらないといけません。
「そんなの誰が决めたんだろう? なんで、そんな仕組みになってるんだろう?」と疑ってかかる人が、常識をくつがえして影響を与える側の人になります。
いままで常識だと思っていたこと、自分の中の前提を「疑うこと」が最初の一歩です。
5回連続で「なぜ?」を問う
ただ、常識はあまりにも当たり前すぎるため、何を疑ってよいのかも難しいですよね。
おすすめは、何か悩んでいることに対して「なぜ?」を5回連続で問いかけてみる方法です。
たとえば、「貯金が少なくて不安だ」というボンヤリした悩みがあったとしましょう。
- なぜ、貯金が少なくて不安なのか? → 雑誌で、同年代の平均貯金額を見たから
- それは、なぜか? → みんなが、どのくらい貯金そしているのか知りたかったから
- それは、なぜか? → みんなと同じなら安心できるから
- それは、なぜか? → 自分の考えに自信がないから
- それは、なぜか? → 自分で判断すると、失敗したときに自分のせいになるのが嫌だから
のように、だんだん本質に近づいていけます。
「なぜ?」の他に、
- それは、誰が言っていたのか?
- いつも/全部がそうだと言えるのか?
- 何のために、自分はそう思いたいのか?
などを問いかけも役立ちます。
我慢の練習をする
人に影響を与えるには、人から影響を受けないこと、自分をコントロールできることが必須です。
セルフコントロールの訓練として、ちょっとした「我慢」の練習をしてみましょう。
別に何か苦しい修行をする必要はありませんので、ご安心を。
たとえば、イスに座る時にいつも猫背になったり足を組んだりしてしまうのを、正しい姿勢にキープしてみましょう。
慣れないと、これが、けっこう我慢が要ります。
崩れた時に「おっと、いけない…」と自分で治すこと、自分で自分を観察できるようになれれば成功です。
このように、セルフモニタリングができるようになると、自分の感情も観察してコントロールできるようになり、人から何を言われても動じなくなっていきます。ぜひ、練習してみてください。
自分本位に生きる方法|まとめ
自分本位な人は嫌われる、経営者が自分本位だと組織は腐る、などというネガティブな捉え方と、人に影響されずにもっと自分本位に、自分らしく生きましょう、という考え方があり、「場合によっては自分本位に」「Win-Winになるように」とも言われます。
自分本位―他人本位の他に、影響力のある―なし、の軸を加えると、以下の4つのタイプに分類されます。
- 影響力弱・自分本位…依存者、軸がない、嫌われたくない
- 影響力強・自分本位…支配者、利己的、サイコパス
- 影響力弱・他人本位…良い人、人を思いやる、神様におまかせ
- 影響力強・他人本位…真の自分本位、全体をよくする信念、嫌われる勇気
本当の自分本位になるには、影響力と他人本位を両方ともバランスよく育てていきましょう。
- 他人本位になるには…祈る、微笑み、感謝する、人の役に立つ
- 影響力を強化するには…常識や自分の考えを疑う、「なぜ?」を問う、我慢する練習
人を思いやって自己犠牲になるのでもなく、自己中心になるのでもなく、全体をよくする「真の自分本位」を目指しましょう。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。管理人の佐藤想一郎と申します。
私が執筆しました、レポート『Cycle(サイクル)』では、今まであまり語られることのなかった〝引き寄せの法則の、もう1つの側面〟について書いています。
・「ワクワク」のダークサイド(暗黒面)とは
・9割の人が見落とす〝引き寄せられない〟根本原因
・想像すら超えた未来を引き寄せる、運命を変える秘訣
といったことにも触れています。
よろしければ読んでみてくださいね。
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