Photo by Matt Marzorati on Unsplash
突然ですが、この言葉をご存知でしょうか?
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
これはマザーテレサが言った言葉として知られていますが、実はこれは日本だけで言われていることなんですね。
それなのに、なぜか多くの人がマザーテレサの名言だと思ってしまっているようです。
どうやらFacebookなどで多くシェアされていたという話です。
どういう理由でこうなったかはわかりませんが、ネットでもそう書かれているサイトが多いのです。
となると本当は一体誰が言った名言なのでしょう?
調べていくうちに多くの人物の名前が浮かび上がってきましたので、紹介していきたいと思います。
目次
実は誰が言ったのかははっきりしていない?
多くの人物の名前が浮かび上がってきたということは、さまざまな説があるということで、つまり誰が言ったのかはっきり分かっていないということになります。
ざっと調べただけでもフランク・アウトロー、老子、マーガレット・サッチャー、マハトマ・ガンジーなどの著名な人だと言われていることがわかりました。
一体正解は誰なのか1人ずつ見ていきましょう。
マザーテレサの名言じゃないの?
まず初めにマザーテレサの言った言葉かどうかという真偽についてですが、先ほども言いましたが、日本以外ではマザーテレサの名言だと言っている人はいません。
Mother Teresaとこの言葉を組み合わせて検索してみても、ほぼ日本語のサイトがヒットするだけで、まったく関連していないことがわかります。
そういう日本語のサイトを見ても根拠を見つけることはできませんでした。
といっても、マザーテレサのものではないという根拠もありません。
一説には、とある外国のサイトでいくつかの名言が掲載されており、それを見た日本人がマザーテレサのものだと勘違いしてしまったと言われています。
たしかにそのサイトを見ると、マザーテレサの別の名言の後にMother Teresaの名前、その下にこの名言が記載されており、その下にフランク・アウトローの名前が記載されています。
ぱっと見ではマザーテレサの名言だと勘違いすることもあるのではと思えました。
以上のことからマザーテレサの線は薄いと言えるでしょう。
フランク・アウトローの名言だった?
実は冒頭で紹介した名言は、フランク・アウトローという人物の言葉です。
フランクはBI-LOというアメリカのスーパーマーケットチェーンの創始者で、この名言は1977年にテキサスの新聞「What They’re Saying」に掲載されたものです。
それ以降、フランクの名言として新聞などのさまざまな印刷物に引用されてきました。
ちなみにこれも有名な話ですが、それぞれの単語thoughts、words、actions、habits、characterの頭文字を並び替えると、「watch」となります。
これは言葉遊びとして意図的に使われたとも言われています。
Watch your thoughts, for they become words.
Watch your words, for they become actions.
Watch your actions, for they become habits.
Watch your habits, for they become your character.
And watch your character, for it becomes your destiny.
この名言はフランク・アウトローの言葉として新聞に掲載されましたが、彼の考えた言葉ではなく、他の人物が言った言葉を変化させたものの可能性もあるのではないか、ということでさまざまな憶測が飛び交っているんですね。
というのも、同じようなことを言っている人物が複数いるからなんです。
マーガレット・サッチャーの父親が言ったもの?
マーガレット・サッチャー(1910-1997)という人をご存知でしょうか?
昔のことなので知らない人もいるかもしれませんが、彼女は1979年にイギリスで初めて女性首相になった人です。
政治において保守的で強硬な姿勢を貫いた彼女は「鉄の女」と呼ばれており、彼女が他界する2年前の2011年には、彼女の人生を描いた伝記映画も公開されました。
その映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(原題: The Iron Lady)で、実はこの言葉が使われていたのです。
メリル・ストリープ扮するマーガレット・サッチャーは映画の中でこう言っていました。
Watch your thoughts, for they become words.
Watch your words, for they become actions.
Watch your actions, for they become habits.
Watch your habits, for they become your character.
And watch your character, for it becomes your destiny.
What we think, we become.
My father always said that.思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。人は自分が思い描く自分になる。
父はいつもそう言っていました。
フランク・アウトローの言っていたこととまったく同じですね。
「人は自分が思い描く自分になる」という言葉が付け加えられています。
ちなみにこの言葉はナイチンゲールが言っていた名言です。
まさかいろいろな名言を組み合わせたもの?
映画ではマーガレット・サッチャーが父親アルフレッド・ロバーツによく言われていた言葉としていますが、実際にマーガレット・サッチャーが父親に言われていたのかはわかりません。
映画の演出としてそういう設定にされていた可能性もあります。
ガンジーが言った名言?
Carefully watch your thoughts, for they become your words.
Manage and watch your words, for they will become your actions.
Consider and judge your actions, for they have become your habits.
Acknowledge and watch your habits, for they shall become your values.
Understand and embrace your values, for they become your destiny.
※意味はほぼ同じなので日本語訳は割愛しています
こちらはマハトマ・ガンジー(1869-1948)の名言とされていますが、微妙に異なる部分がありますね。
Carefully、Manage、Considerといった言葉が付け加えられています。
最後の一文は、直訳すると「あなたの価値観を理解し抱きしめなさい。それがあなたの運命になるから」となりますが、「あなたの思考があなたの運命になるのだから、自分に良くないことが起こったとしても自分以外のせいにせず、原因が自分にあるのだと認めて受け入れなさい」ということだと思います。
ちなみにガンジーの名言として、意味は違いますがこれとは別の似た言葉があったりして、これらのことからもガンジーが言った言葉だとするには信憑性が薄いように思えます。
A man is but a product of his thoughts. What he thinks, he becomes.
この言葉もガンジーが言ったものとされていますが、もしかするとこの言葉が変化して例の格言のように長くなったのかもしれませんね。
もしかしてブッダが言っていた?
以下の言葉も似た意味ですが、これはブッダが言った言葉とされています。
The thought manifests as the word;
The word manifests as the deed;
The deed develops into habit;
And habit hardens into character.
So watch the thought and its ways with care,
And let it spring from love,
Born out of compassion for all human beings.
As the shadow follows the body,
As we think, so we become.
しかし、1989年にK. Sri Dhammanandaという高名な仏教徒が「How to Live without Fear & Worry」という自著で「これは2500年前のブッダ自身が言った言葉ではなく、彼の言葉が反映されたものだ」と述べています。
他にも多くの説が・・・
ラルフ・ワルド・エマーソン
アメリカの思想家でエッセイストであるラルフ・ワルド・エマーソンも、フランク・アウトローと同じことを言っています。
しかしその言葉が掲載された彼の本は、2009年に出版されており、ラルフの言葉ではないと言えますね。
彼の本を読んだ読者が彼の言葉だと思い、それが広まったということかもしれません。
老子
老子の名言であるという説もあります。
一説では読書コミュニティであるGoodreadsというサイトで2010年に言われはじめたとのことですが、真偽のほどはわかりません。
ただ、老子の他の言葉に似た表現がありますので、そこから老子の言葉であると言われるようになった可能性があります。
聖書にも書かれている?
これは個人的な意見ですが、聖書にも似た意味の言葉が書かれています。
Be very careful about what you think.
Your thoughts run your life.(旧約聖書ーソロモンの箴言ー4章23節)
聖書は人類史上最も読まれている本ですので、これを知っていた人物がもっと詳しく言い換えたとか、引用したという可能性もあるかもしれないですね。
結局、誰の名言なの?
この名言は人によって少しずつ形が異なるため、それぞれ意味が違うのではないかとも思えますが、言わんとしていることはただ一つで、シンプルに表現すると「思考・言葉・行動は創造につながる」ということです。要するに引き寄せの法則のことを言っています。
引き寄せの法則では思考のみが取り上げられることも多いですが、この3つの行為が本来の創造の3段階です。
それが、これらの名言に表現されており、3つの行為での流れがあることがわかります。
時系列で見ると、ブッダが言ったという説が有力なように思えます。
彼が言ったことや教えが形を変えて伝えられたものなのかもしれませんし、これらの人たちが誰かに聞いたのをなんとなく覚えていて、無意識に引用したのかもしれませんし、本当のところはわかりません。
これを確かめるのは難しいでしょう。
いろいろ調べてみても、同じ人物でも人によって言い回しが違ったりということがけっこうあって、どれが本当なのかわからなくなります。
伝聞されていく過程で変化していった可能性が高いのではないでしょうか。
重要なのは誰が言ったかということではない
個人的な意見では、冒頭で紹介した名言に関してはフランク・アウトローのものだと思いますが、彼自身誰かの名言を引用したか、自己流にアレンジしたのかもしれないし、残念ながら今となっては確かめようのないことです。
ある意味ではこれらの人たち全員が言っていたと言っても良いのではないのかと思います。
あるいは何らかの存在が、この大事な言葉を多くの人に伝えるために、複数の人に言わせるように仕向けたなんて考えも浮かんできました。
または時代を通して特定の人に現れている言葉というふうに感じました。
海外でもこれだけの人が対象になっているのに、日本でもマザーテレサが増えてしまってはさらに混乱してしまいますね。
ですが、誰が言ったかの証拠を集めるために時間を費やすよりも、このような役に立つ言葉を正しく理解し、人生に活用していくことが最も重要なのではないでしょうか。
「行動に気をつけなさい」というのは「無意味なことをして時間を無駄にするのはやめなさい」という意味もあるのかもしれませんね。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。管理人の佐藤想一郎と申します。
私が執筆しました、レポート『Cycle(サイクル)』では、今まであまり語られることのなかった〝引き寄せの法則の、もう1つの側面〟について書いています。
・「ワクワク」のダークサイド(暗黒面)とは
・9割の人が見落とす〝引き寄せられない〟根本原因
・想像すら超えた未来を引き寄せる、運命を変える秘訣
といったことにも触れています。
よろしければ読んでみてくださいね。
(下のボタンを押すとフォームが開きますので、情報を入力して〝送信する〟ボタンを押してください。メールにてレポートをお届けします。)