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なぜ、人々はフジ子・ヘミングに魅力を感じるのか? |ストーリーの力

フジ子・ヘミングの魅力
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高橋久美(たかはしくみ)

月間20万ページビューの人気サイトのライター&編集長、複数のメディア運営に関わっている。
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初めまして、ライターの高橋久美と申します。

街ゆく人にクラシックピアノのピアニストを誰か知ってますか?

と声をかけたら、一番出てきそうなのがフジ子・ヘミングさんの名前ではないでしょうか。

クラシックファン以外の人の心も掴みコンサートチケットは入手困難な売れっ子、フジ子・ヘミングさんは今年2019年にデビュー20周年を迎えるそうです。

ん? 20周年? この人、おいくつなんでしょうか…?

なんと年齢は「非公表」でしたが、「1945年に高等女学校に入学」とあるので、80代の半ばではあるようです。

ということは、デビューは還暦を過ぎてからだったという、かなり、いやめちゃくちゃ遅咲きのピアニストだったんですね。

なぜ、フジ子・ヘミングさんは、クラシックファンのみならず人々の心に響くのでしょうか?

今回は、その魅力を、音楽については全く素人な一般ピーポーの目線で探ってみました!

フジ子・ヘミング、なぜ魅力的?

私がフジ子・ヘミングに出会ったのは、大学生のときでした。

バイト先の先輩がフジ子・ヘミングのコンサートに行って「感動してて涙があふれました!」ってミクシィの日記に書いてたんですね。

私は全然クラシックに興味がなくてビジュアル系ロックバンドの追っかけなどをしていましたが、そんなに良いんなら作業用BGMにでもしようかな、と適当に『イングリット・フジ子・ヘミング こころの軌跡』のアルバムを買ったのが最初です。

なるほど、クラシックもなかなか良いものだな、と思いましたが、特にCDを買い足したりコンサートに行ったりすることはなく、ただそのアルバムは気に入ってよく聴いていました。

私の認識では、「フジ子・ヘミングという人はおばあちゃんだし、クラシックピアノ界の重鎮の人」で、苦労した遅咲きのピアニストだったらしいことは、10年以上も後になって知りました。

世界中で人気者な一方で、クラシックピアノ・ガチ勢からは批判もあるらしいことも。

フジ子・ヘミングの魅力と批判

フジ子・ヘミングの魅力としては「哀愁の漂う豊かな音色」や「独特のテンポのゆらぎ」などが挙げられます。

詳しい人の解説はこんな感じ。

まず、音がきれい。フジコの音はひとつひとつがよくのび、人間の声のように語りかけてくる。
つぎに、間のとり方がうまい。聴き手が感情移入できるように、メロディの歌いはじめ、歌いおわりでふっとゆるめる、そのタイミングが絶妙だ。
引用:専門家が聴くということ。|青柳いづみこ

メカニックにしても解釈にしても最近のピアノ界の様々な「技術革新」や「研究成果」とは無縁のものでしたが、メロディー偏重の味付けは古き良きピアノ演奏スタイルであり、どこか懐かしさを感じさせる演奏だったと思います。
中でもスタインウェイの中高音をブリリアントにしっかり鳴らしている「音」は、十分に印象に残るものであり、ご本人の人懐っこいステージマナーと共に、一晩のピアノ・リサイタルとしては満足の行くものでした。
引用:「フジ子・ヘミング現象」の何が問題なのか?|Newsweek

なるほど、将棋で例えるところの、若手がどんどん最新の研究で定跡を進化させていく中で、ずっと棒銀で挑み続ける加藤一二三さんですね!

古き良きスタイルなんだけど、年季が入ってて味があり、なかなか強い、みたいな感じでしょうか。

言われて聴き比べてみれば、フジ子・ヘミングさん以外の人は割とアッサリ目というか、サラサラっと流れるように弾いてる印象です。

んで、批判する人たちから見ると、ミスが多かったり、曲を変えちゃったり、クラシック界の「御法度」を犯しているのに、こんなに売れてるなんて!と思うようです。

私は音楽の細かいことは分かりませんが、こういうクラシック界の「権威」みたいなものに屈せず、ピアノを弾き続けるフジコさんの生き方自体が魅力的だな、と思います。

フジ子・ヘミングの魅力は「生き方」そのもの

クラシックピアノ界でスターになる一般的な方法は、「権威のある国際コンクールで優勝すること」です。

ショパン国際コンクールみたいな最高峰のコンクールで優勝すると、有名になってコンサートのチケットが売れまくる、という流れですね。

このぐらいはクラシックファンじゃなくても知ってる話。

CMとかにも出演している辻井伸行さんは「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で優勝して一躍人気のピアニストになりました。

ところが、実はそんなに権威のあるコンクールじゃないし大したことないと言う人もいて、コンクールなら何でも良いってわけでもなく、なかなか厳しい世界のようです。

では、フジ子・ヘミングさんはどうだったのか、経歴を振り返ってみましょう。

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フジコ・ヘミングさんの経歴

本名は、ゲオルギー=ヘミング・イングリッド・フジコ。

ロシア系スウェーデン人で画家の父親と日本人のピアニストの母親の間に、ベルリンで生まれました。

母親手ほどきを受けてピアノを始め、レオニード・クロイツァーに師事。

17歳でデビューコンサート、東京芸術大学音楽学部に進学し、日本のコンクールで多数の賞を受賞。

ピアノ留学を望んでいましたが、パスポート申請時に無国籍だったことが発覚!

難民認定を受けてドイツに留学できたのは28歳のときでした。

国立ベルリン音楽大学を優秀な成績で卒業し、ヨーロッパに残って音楽活動を行いますが、お金がなくて生活は大変だったそうです。

長年の苦労ののち、ついに才能が認められるときがきました!

「今世紀最大の作曲家・指揮者の一人と言われるブルーノ・マデルナ」のソリストとして契約が決まったのです。

ところが、待ちに待ったリサイタルの直前、何と、風邪をこじらせて聴力を失ってしまいます。

そんなドラマみたいなことがあるなんて・・・!!

演奏家としてのキャリアは中断。

第一線からは退いたものの、耳の治療をしつつ、ピアノ教師とコンサート活動を続けます。

1995年に日本へ帰国し、1999年のNHKのドキュメンタリー番組「フジコ〜あるピアニストの軌跡〜」が放送され、大反響に。

CDが発売されると、3ヶ月で30万枚のセールスを記録。1999年10月には復活リサイタルが開かれ、その後はソロ活動、有名オーケストラとの共演など世界を舞台に活躍を続けています。

なので、若い頃に海外の有名コンクールで優勝してリサイタルデビュー、という正規ルートとはだいぶ違ってますね。

でも、だからこそ、フジコさんの演奏は人々の心に響くのだと思います。

何があっても、ピアノを続けてきた。

娘心に、つらくても努力して頑張れば、必ずその先にはいいことが待っているんだって思ったわ

数々の困難を乗り越えて、ひたむきにピアノと向き合い続けて、それが60歳を過ぎてから花開いた…。

ピアノが分からなくても、そのストーリーだけで励まされるじゃないですか!

今は生活が大変だったり、認められなかったりしても、それでも一つのことを一生懸命に続けていればきっと、いつか光を浴びるときがやってくる。

それが何十年後か分からないけれど、今を頑張って乗り越えていこう。

フジコさんのストーリーは、私たちにそんな勇気を与えてくれます。

そして、それはドキュメンタリーを見たり、プロフィールを読んだりしていなくても、フジコさんのピアノ演奏からも何となく伝わります。

私は大学生のとき、フジコさんがどういう人かも分からないで、ただCDを聞いていましたが、彼氏と別れて落ち込んだとき、就職活動でつらかったとき、フジコさんのピアノを聞いていると不思議な安心感に包まれるような気がしていました。

それはきっと、音にフジコさんの思いが背景情報として乗っているからだと思います。

ものすごくピアノの上手な10歳の子供が、フジコさんの演奏を完全にコピーして同じように弾いたとしたら、聞く人は「上手だなあ」「綺麗だなあ」とは思っても、それ以上のものは感じられないでしょう。

人生のストーリーが、ひたすらピアノを続けてきた年月が、音に深みを与え、音楽とかよく分からない人の魂までも振るわせるのです。

自分のスタイルを貫いている

熱烈なクラシックファンの人ほど、テクニックが研究がどうのこうのと考えてしまうので、思考のフィルターが邪魔をして魂に届きにくくなるのかもしれません。

ライターが流行りのライトノベルを読むと、あまりの文章のひどさに内容が入ってこなくて感動できないのと同じように。

そして、本質ではない細かい部分にケチをつけたくなるわけですが、フジコさんは批判を受けても、全く意に介しません。

私はミスタッチが多い。直そうとは思わない。批判する方が愚かしい
ぶっ壊れそうな鐘があったっていいじゃない、機械じゃないんだから」(『ラ・カンパネラ』について)
引用:フジ子・ヘミング|Wikipedia

それは、クラシック音楽の世界では異端なのでしょう。

しかしフジコさんの人気は衰えず、多くのアーティストからも賞賛されています。

他と違っても、王道のやり方を外れても、自分のスタイルを貫いていくところもフジコさんの魅力になっています。

お手製のコンサート衣装や、CDジャケットを飾るイラストなども、とってもオリジナルですね。

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幸せそう!

人生にはやりたいこと、読みたい本、見に行ってみたいバレエ公演、他にもいっぱいありますよね。結婚していなくて良かったと思います

フジコさんといえば、ドキュメンタリー映画にも犬や猫がいっぱい登場していて、大の動物好きとしても知られています。

ピアノは「猫たちを食べさせていくための道具」と言うフジコさん、パリと東京の自宅で飼っている他に、動物愛護のためのチャリティー活動も続けているそうです。

動物たちや友人に囲まれて、いつも幸せそうなフジコさん。

フジコさんのライフスタイルには、人生を楽しむヒントがいっぱいです。

コンサートの日だけじゃなく、1日4時間の練習をして、愛犬とカフェに行って、猫たちに餌をやる日常にも幸せを感じているから、長い間の苦労も乗り越えられたのかもしれません。

大変な時も、周りを見渡して見たら幸せなこと、楽しいことは、きっと見つかるはず!

フジコ・ヘミングの魅力はなぜ? まとめ

人気のピアニスト、フジ子・ヘミングさんの魅力とは…

  • 自分のスタイルを貫いてこその、豊かな音色
  • 人生のストーリーが勇気をくれる
  • 動物たちに囲まれて、日常を幸せに生きている

フジコさんのように、何かに打ち込んで、苦労も乗り越えて、日々を幸せに暮らせたら素敵ですね!

私もコンサートを聴きに行ってみようかな。高橋久美でした。

ABOUT ME
高橋久美
会社を8年でやめてフリーライター4年目。たまたまブログから見つけた佐藤想一郎さんのご縁で最高の仲間たちと出会い、WEB媒体の他、最近はブックライティング、雑誌の編集など忙しくも充実した毎日を送っている。読んだ人の心が明るくなって、人生まで良くなってしまうような文章を目指して修行中。→ 詳しいプロフィールはこちらから
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ここまで読んでくださって、ありがとうございます。管理人の佐藤想一郎と申します。

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よろしければ読んでみてくださいね。

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