なぜ残業はなくならないのでしょうか?
忙しい部署に人を増やしたり、ITを導入して作業効率を改善したり、残業を減らす努力をしても、なぜかその分だけ仕事が増えてやっぱり残業することになってしまったことはありませんか?
それ「パーキンソンの法則」にハマっていますよ。
この記事を読むことで、ムダな仕事が増えるのに歯止めをかけ、平日の夜のプライベートも充実できるかもしれません。
- 仕事は無限に増殖する! パーキンソンの法則とは
- 残業をすればするほど仕事が増える理由
- ムダな仕事を減らして残業を無くす4つのアイディア
目次
なぜ残業はなくならないのか?パーキンソンの法則で解説!
1950年代、かつては世界中に植民地を広げていたイギリス帝国は縮小していました。ところが、不思議なことに植民地省の職員の数は毎年増加していたのです。
仕事は減っているはずなのに、なぜ?
これに気づいたのは歴史学者・政治学者のシリル・ノースコート・パーキンソン。
1958年に書籍『パーキンソンの法則:進歩の追求』を発表し、役人の数は仕事量に関係なく毎年5〜7%増加していることを指摘しました。
パーキンソンが提唱した法則とは、こちら。
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する(第一法則)
たとえば、
「明日の会議の資料、今日の午前中までにお願い」
と上司から頼まれたらササッと資料を作って提出できるのに、
「来週の会議の資料、今週中に作っておいて」
と言われて何日も余裕があると、すごく凝ったパワーポイントの資料にアニメーションまで付けてしまう、といった現象が起こります。
どんなに大きな本棚を買っても必ず満杯になってしまうように、労働時間を多くすればするほど仕事の量は増えるのです。
そこで「残業」ということになるわけですが、残業が当たり前になるともっと大変なことが起こります。
なくせる残業がなくならない理由をパーキンソンの法則で解説
パーキンソンの法則をふまえて、なぜ残業がなくならないのかを考えてみましょう。
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
個人レベルでは、所定の労働時間内に仕事を終わらせようと思っていると、作業量は時間ぴったりに終わる分まで膨張します。
これならギリギリ定時には帰れるはずですですね。
しかし現実にはそうは行きません。
なぜなら会社または上司は、所定の労働時間ではなく「残業させられるギリギリの時間の分」を想定して仕事を増やすからです。
つまり、残業時間も含めて「完成のために与えられた時間」とみなしている、最初から残業を当てにして仕事を増やしているのです。
この基準は、会社によっては「法定労働時間」であったり「36(サブロク)協定と就業規則の効力が及ぶ範囲」であったりします。
中には「従業員が死なない程度」と考えているブラック企業もあるようですが。
そして毎日のように残業していると、働く人も無意識で「残業時間込み」で仕事の段取りをするようになります。
というわけで、パーキンソンの法則により、残業が常態化すると「残業時間も込み」の労働時間の分だけ仕事量が膨れ上がることになるのです。
では、パーキンソンの法則に負けずにみんなで定時で帰るには、どうしたらいいのでしょうか?
残業をなくす4つの対処法
ここからは、パーキンソンの法則の悪循環を断ち切って残業を無くす具体的な対処法を解説していきます。
1.仕事を捨てる・断る
上記のように、残業を前提とした仕事量を抱え込んだままでは、個人の努力で効率化やスキルアップで時間短縮をするにも限界があります。
上司から頼まれるままに仕事をこなしていては、時間はいくらあっても足りないのです。
そこで、どうしても「仕事を捨てる」「仕事を断る」ことが必要になってきます。
残業をしない前提で、どうしても自分がやらなければいけない仕事と、捨てても良い仕事、人に任せても良い仕事を切り分けましょう。
私が以前働いていた会社に、仕事がとても早くてよほどの繁忙期以外はピタッと定時で帰っている人がいました。
その仕事ぶりはというと、部下やアルバイトに任せられる仕事を丸投げしたり、苦手な仕事は得意な人にアウトソーシングしたりしておいて、自分はちゃっかり査定で評価される仕事にだけ集中しているのでした。
また、上司からやっかいな仕事を頼まれた時も「今、忙しいので」などと平気で断り、上司が残っていても自分の仕事が終われば「お先に失礼します」と帰ってしまいます。
人一倍の売上げを出して会社に貢献している人には上司も文句を言えないんですね。
このように、「自分が会社の利益に最も貢献できる仕事」を優先し、ムダな仕事を切り捨てることによって、残業しなくても成果を出していたのです。
では、捨てて良い仕事とはどのようなものでしょうか?
仕事のムダを発見し優先順位を付けるには次の2つの質問を自分に問いかけてみると良いでしょう。
質問1:その仕事は会社の利益にどのくらい貢献するか?
質問2:その仕事をすることで自分は成長できるか?
例えば、「お客様から資料請求があったときにはパンフレットと一緒に手書きの手紙を書いて郵送する」という仕事のムダを洗い出してみましょう。
質問1:その仕事は会社の利益にどのくらい貢献するか?
今時、手書きで手紙をもらうことは珍しいので、もらったお客様は感激するかもしれませんが、やめたからといって直接的に満足度や売上げに影響はなさそうです。
担当者の字が下手くそだと読めなくて逆に満足度は下がる怖れまであります。
質問2:その仕事をすることで自分は成長できるか?
同じ文面を何回も書いていたら字は上手になるでしょうけれど、仕事全体で見たら成長はほとんど期待できません。
ということで、手書きの手紙を送るのは無駄という結論が出ます。
日々のルーティンワークを2つの質問に照らし、無駄な仕事はどんどんやめましょう。
また、無駄でない仕事にも優先順位を付けて、自分がやると最も組織の利益に繋がるものからやっていくようにしましょう。
優先度が低く自動化できるものは機械に、外注できるものは人に任せ、自分がやるべき仕事に集中しましょう。
上司から新しく仕事を振られて断りたいときも
などと言えば、「すみません、今忙しいです」と言うよりも説得力があり、角も立ちませんね。
残業ありきで頼まれた仕事を全部こなすのは元から無理。成果を出し、成果にコミットして文句を言わせない。
2.タスクは全部スケジュールに組み込む
タスクリスト・ToDoリストには、あまり売上げにも成長にも繋がらない細々した作業が並びがちです。
絶対にやらなければいけない事だけでなく、「時間があったらやりたいこと」も含めてどんどん仕事が増殖してしまうことにもなります。
そこでおすすめしたいのは「タスクリストを作らない」ことです。
元Google社員のピョートル・フェリクス・グジバチさんもToDoリストを使わない派のひとりです。
僕は to do リストをつくることはまずありません。
起業家ですから、個人としてもチームとしても、生産性を高め、なおかつインパクト(=同じ時間で生み出す価値や、社内での評価)が大きくなるよう意識して仕事をしなければなりません。
そのため、「インパクトが地位差kう、学びも少ない」仕事は、真っ先にto do リストならぬ「not to do」リスト入りにして、自分ではやらないと決めています。
仕事が入ったら、タスクをリストに加える代わりに、その仕事をいつやるかを決めてスケジュールに組み込んでしまいましょう。
こうすることで全部のタスクに細かくタイムリミットを儲けることになります。
また、その時間には他の予定を入れずに集中して作業ができるメリットもあります。
タスクリストに色々な仕事が一覧になっていると「今日中にあれも、これもやらなきゃ」と思っていると頭の中が忙しくなって集中力が落ちてしまいます。
スケジュールなら「今はこの作業をやる時間!」と手元の作業に集中することができます。
タスクリストなしのスケジュール管理におすすめなのが、1日のスケジュールとプロジェクトのスケジュールを同時に管理できるD-BROSのクリエイターズダイアリーです。
注意点は、自分がどの作業にどのぐらい時間がかかるのかを正確に把握できていないと、スケジュール通りに進まなくてストレスになります。
最初は予定は書き込まず、自分の1日の行動を分単位で記録し、作業スピードを把握することから始めると良いでしょう。
仕事を受けるときも「時間があるときに」とか「なるべく早く」などと曖昧な指示が来たら、
と確認するようにしましょう。
タスクリストは無駄な仕事の温床! あえてリストは作らず、大事な仕事はスケジュールに組み込もう
3.マイ締め切り」を設定する
締め切りまでに終わらせようと思うと、あまり気にしなくても良いレイアウトに凝ってしまうなどして、締め切りギリギリまで時間がかかってしまいますが、これもパーキンソンの法則。
途中で他の仕事が入って予定が狂うと残業コースまっしぐらになってしまいます。
でも、夏休みの宿題が最後の3日間でどうにかできてしまうように、締め切りに追われてクオリティにこだわらなければもっと早く完成させられる場合があります。
大事なのは、自分の作業にかかるトップスピードを把握してギリギリの「マイ締め切り」を設けることです。
対処法2で自分の作業時間が正確に見積もれるようになったら、本物の締め切りの手前に「一番急いでやったら間に合うギリギリの締め切り」を設定しましょう。
そして、何が何でもマイ締め切りまで終わるように、集中して一心不乱に作業しましょう。質は最低限で構いません。
本物の締め切りまでには、もう一度チェックしたり、修正したりしてバージョンアップする時間はありますから。
パフォーミングアーティストで劇作家の小林賢太郎さんは「〆切とは、完成品の更新をやめるときのこと」だといいます。
僕は〆切に間に合う作家です。理由は、完成品を何度も更新させているからです。「そこまで!」と言っていたあければ、そこで区切って提出できます。どこで切っても完成品は完成品です。
引用:『僕がコントや演劇のために考えていること』小林賢太郎,幻冬舎,2016
とりあえず完成はさせておけば、突発的な対応で思ったよりも時間が取れなかった場合にも対応が間に合いますね。
「締め切りギリギリまで時間がかかってしまう」から、意識的に「ギリギリまで時間を使う」に切り替えましょう。
もちろん他にもたくさん仕事があるなら、クオリティを上げるよりも別の仕事を片付けていった方が良いかもしれません。
一番急いでやったときに間に合うぐらいの「マイ締め切り」までに一通り完成させ、本物の締め切りまでは精度を上げる時間に使う。または、別の大事な仕事をする。
なぜ残業はなくらないのか|まとめ
仕事は使える時間の分だけ増大する傾向があります(パーキンソンの法則)。
残業の時間も「使える時間」という認識を持っていると、会社または上司は残業時間いっぱいまで仕事を増やそうとします。
そこで、個人としてできる対策は以下の3つです。
- 今までの仕事を減らす・新しい仕事を断りましょう。成果さえ出していれば文句は言われません。
- 細々したタスクリストはやめ、大事な予定はスケジュールに組み込んでしまいましょう。
- 本物の締め切りの前に「マイ締め切り」を設定し、クオリティを落としても最速で完成させましょう。
自分の仕事は終わったのに、まだ皆は残業していて帰りづらい…そんな人は、以下の記事もチェック!
定時に帰ってしっかり休めば次の日も元気に働けるし、自宅で勉強・自己啓発すれば更に仕事で成果を上げられますよ。
https://omo-kichi.com/teiji-de-kaeru-houhou/
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。管理人の佐藤想一郎と申します。
私が執筆しました、レポート『Cycle(サイクル)』では、今まであまり語られることのなかった〝引き寄せの法則の、もう1つの側面〟について書いています。
・「ワクワク」のダークサイド(暗黒面)とは
・9割の人が見落とす〝引き寄せられない〟根本原因
・想像すら超えた未来を引き寄せる、運命を変える秘訣
といったことにも触れています。
よろしければ読んでみてくださいね。
(下のボタンを押すとフォームが開きますので、情報を入力して〝送信する〟ボタンを押してください。メールにてレポートをお届けします。)