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男女の賃金格差は幼児・児童の「なりたい職業」から始まっていた!

男の子と女の子のなりたいものに賃金格差

厚生労働省では男女間の賃金格差解消に向けて取り組みを行っています。

運転士や土木などこれまでは男性の職域だったところに女性が進出したり、女性の管理職が増えたりしていますが、全体的に見るとまだまだ男女間の賃金格差は存在しているようです。

ところが男女の賃金格差は差別ではなく「選択の違い」であるとする研究もあります。

ハーバード大学の調査によると、時給や評価など全く同じ労働条件下においても男性が長時間労働を受け入れるのに対し、女性は計画的ではない労働を避ける傾向があり時間外労働や夜間・週末・祝日の勤務が少ないため所得に差が出ていたそうです。[1]

この「選択の違い」ですが、幼児・児童の「大人になったらなりたいもの」の賃金の段階ですでに男女で差がついている可能性があります。

女の子の「将来の夢」の平均年収は、男の子の57%にしか満たないことが今回明らかになったのです。

第30回大人になったらなりたいもの男女別ランキングが発表

3月8日に第一生命保険会社より、全国の幼児〜児童1,000人を対象とした第30回「大人になったらなりたいもの」アンケート調査結果が発表されました。

大人になったらなりたいもの

男の子にはスポーツ選手や、警察官・消防士・運転士・パイロットなど乗り物に関するものがやっぱり人気ですね。

世相を反映し、学者・博士、「ゲームやおもちゃをつくる人」などもランクインしています。

一方、女の子は「食べ物屋さん」がトップ。これは22年連続だそうです。

また、保育園・幼稚園・学校の先生や飼育係、看護師など「世話をする・教える」こと、美容師、デザイナーなど「おしゃれ」に関係することも人気です。

さてランキング全体を見てみると、なんだか男の子の方が夢見がちというか高収入な職業が並んでいて、女の子は「手に職を」的な地に足のついた職業が多いような気がします。

どの位差がつくのか、それぞれ平均年収を調べてみました。

「なりたい職業」の平均年収に男女で大きな差

それぞれの職業の平均年収を調査するにあたり参考にしたのは、以下の2つのサイトさまです。

基本的には平均年収.JPさんのデータから、ない場合はキャリアガーデンさんのデータを参考にし、幅がある場合は平均値を取って集計しました。

その結果がこちらです。

男の子のなりたいもの平均年収

女の子のなりたいもの平均年収※ 複数の職業があるものは代表して計算したものを右側に併記
※「歌手・タレント・芸人」は収入の幅が大きすぎてデータがなかったため、代わりに「局アナ」の年収を参考にしています。

ランキングの平均値・中央値ともに驚くべき差が出ました。

  • 男の子のなりたいもの平均年収1089万円・中央値766万円
  • 女の子のなりたいもの平均年収623万円・中央値559万円

男の子の年収を100としたとき、女の子の年収は57しかありません。

これは現実の賃金格が差男100・女73よりも大きな格差です。[2]

男子がなりたい職業では年収1000万円以上のものが5つ入っていましたが、女子のランキングには「お医者さん」1つのみでした。

なんと、女の子は最初から男の子に比べると「稼げない職業」を夢に掲げてしまっているのです。

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現実的になれそうな職業に落としてみても…

いや、女の子は現実的なのかもしれません。

男の子のなりたい「サッカー選手」や「野球選手」は努力すれば誰でもなれるようなものではありませんが、女の子は「看護師」や「先生」などちゃんと勉強すればなれる職業を多く挙げています。

そこで、もうちょっと現実的なラインに落として比べてみましょう。

なりたくて誰もがなれるわけじゃない「サッカー選手(2500)」や「野球選手(3733)」は「スポーツインストラクター(420)」にグレードダウンします。

同様に、

  • 「学者・博士(1112)」→「准教授(857)」
  • 「お医者さん(1696)」→「薬剤師(587)」
  • 「パイロット(1198)」→「グランドスタッフ(365)」

とします。

女子も下げないと不公平ですから、

  • 「ファッションデザイナー(650)」→「アパレル店員(480)」
  • 「局アナ(800)」→「劇団員(340)」
  • 「お医者さん(1696)」→「薬剤師(587)」

など現実的なラインに落としましょう。

改めて平均年収を計算したものをご覧ください。

男の子のなりたいもの平均年収現実的バージョン 女の子のなりたいもの平均年収現実的バージョン
  • 男の子のなりたいもの平均年収485万円・中央値420万円
  • 女の子のなりたいもの平均年収397万円・中央値353万円

うーん、だいぶ差は縮まりましたがまだ全体的に男の子のなりたいものの方が稼げる結果となりました。

男の子の平均を100とすると、女の子は82です。

どうしてこのような差が生じてしまうのでしょうか?

なぜ女の子は「儲からない職業」を目指すのか?

子どもが「なりたいもの」にケチをつけるのはどうかと思いますが、国を挙げて男女の賃金格差をなくそうとしているのに、子どもの頃からすでに差がついているというのは問題のように思われます。

なぜ男女で「なりたいもの」の収入に差が出てしまうのか、また格差を是正するには何ができるのかを考えてみましょう。

稼げる職業は男性のイメージ?

子どもはまだ年収までは考えていないでしょうから、「なりたいもの」選びは純粋に「かっこいいな」「素敵だな」とあこがれの対象になるかどうかで決まるはずです。

このとき、同性のロールモデルがいないと「あこがれ」が生じにくい可能性はないでしょうか?

たとえば、「野球選手」「サッカー選手」は女子リーグもありますが、人気・知名度は男子のリーグに及ばず中継など露出も少なめ。

「お医者さん」は男女ともにランクインしていますが、他に現実的になれそうな職業で年収1000万円超の「学者・博士」や「パイロット」は女の子のなりたいものトップ10には見られませんでした。

パイロットは男性でキャビンアテンダントは女性、大学教授は男性で保育士は女性といったイメージがまだまだ根強いのかもしれません。

日本人女性からノーベル賞の受賞者がまだ1人も出ていないのも無関係ではなさそうです。

逆に保育士や看護師ピアノの先生、美容師には女性が多く、身近なあこがれの対象になりやすいのではないでしょうか。

現状で女性の方が低賃金の職業に多く就いているため、女の子がその女性たちにあこがれて同じ低賃金の職業を目指す、という循環が発生しているのです。

もちろん、保育士やピアノの先生が大学教授やプロ野球選手に比べて収入が低いからといって人としてランクが低いということはありません。

全て誰かがやらなければならない大切な仕事です。

ただ、女の子も高収入な仕事に「あこがれ」を持つことができ、選択の幅が広がるのは悪いことではないと思うのです。

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男女の賃金格差をなくすには女の子の「あこがれ」から

ということは、男女の賃金格差を無くすにはそもそも「女の子が高収入な職業にあこがれるような環境・文化」から作っていく必要があるのではないでしょうか。

「素敵な女性の職業はコレ」という既存のジェンダーギャップのせいで女の子が高収入なしごとにあこがれを持つことができないのだとしたら、それは可能性を狭めていることになります。

たとえば、今回女の子のランキング1位は「食べ物屋さん」でしたが、これは子どもたちの人気のアニメでスイーツがテーマになっていたことが影響していると言われています。

なので、プリキュアがノーベル物理学賞を取るアニメとか、綾瀬はるかがCAじゃなく機長な映画を撮るとか、女の子が高年収の職業にあこがれるような仕掛けをしていったら良いんじゃないでしょうか。

そういえば私は中学生ぐらいまで「パイロットになりたい」と言っていましたが、あれは「スペースキャンプ」という映画の影響だったように思います。

NASAの基地に体験学習にやってきた子供たちが事故で本当に宇宙に飛んでしまうというSFアドベンチャーなのですが、パイロットがブロンドのかわいい女の子でした。

後に本物の宇宙飛行士・向井千秋さんがぐうの音も出ないほどの超エリートだったことを知り、こりゃ無理だと断念しましたが…。

でも、「高い山」を目指したおかげで、数学・理科も含めて勉強を頑張ることができました。

最初から「低い山」を目標にしていたら、「専門学校でいいや」「短大でいいや」と思って勉強しなかったかもしれません。

そして、その原動力は単なる「あこがれ」だったのです。

子ども時代から始まる男女の賃金格差

大人になったらなりたいものベスト10の平均年収を男女で比べると、男の子は1089万円、女の子は622万円と大きく差が開きました。

男女の賃金格差は、子ども時代から始まっています。

本気で差を無くそうと思ったら、女の子が大学教授やパイロットを「なりたい職業」に挙げたくなるような「あこがれ」を持てる環境をつくらなければなりません。

私が女の子の親になったら、リビングの本棚にさりげなく『すべてがFになる』シリーズとかグレース・ホッパーの伝記映画とかを置いておこうと思います。

本人の好き嫌いもあるからコントロールはできないけど、いろんな世界があることを知ってジェンダーに囚われずにあこがれを持ってもらえたらいな。

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[1]男女の賃金格差は性差別ではなく「選択の違い」によるものだとハーバード大学の研究者が示す
[2]厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より2017年度データ

ABOUT ME
高橋久美
会社を8年でやめてフリーライター4年目。たまたまブログから見つけた佐藤想一郎さんのご縁で最高の仲間たちと出会い、WEB媒体の他、最近はブックライティング、雑誌の編集など忙しくも充実した毎日を送っている。読んだ人の心が明るくなって、人生まで良くなってしまうような文章を目指して修行中。→ 詳しいプロフィールはこちらから
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