魂を磨く

ガンダムWの『完全平和主義』のメタファー・元ネタを考察してみた

ガンダムウィング考察

『新機動戦記ガンダムW』は1995年から放送されたアニメで、2018年3月現在TOKYO MXで再放送中のアニメです。

第一話から主人公のヒイロ・ユイがヒロインのリリーナ様に「お前を殺す」宣言!

からの、リリーナ「ヒイロ―、早くわたくしを殺しにいらっしゃーい」

など迷セリフと自爆&自爆未遂が豊富な作品ですね。

ガンダムシリーズの中ではネタ枠として扱われがちですが、実は『完全平和』という何とも難しいテーマが扱われています。

ヒイロを筆頭にリリーナ、ミリアルド、トレーズ、レディ・アン、ドロシー以下、主要キャラほぼ全員がわけわからんセリフを放ちますが、いろんな隠喩(いんゆ・メタファー)を探してみると面白いですよ。

今回は、ガンダムWに隠された比喩表現の元ネタを考察してみました。

作品を見てない人には訳がわからないかもしれませんが、見ても訳が分からないのでご安心ください。

※以下、最終回を含むネタバレが部分的に含まれます。
※セリフ引用元:俺選ガンダム名セリフ・データベース

 

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元ネタ考察。カント『永遠平和のために』か?

ガンダムW全体の根幹テーマである『完全平和』の元ネタは、おそらくドイツの哲学者イマヌエル・カントの著書『永遠平和のために』と思われます。

人の本性は戦争状態、平和は作られなければならない

まずは、ガンダムWでも変な方向にぶっ飛んでいるおねえさん、ドロシー・カタロニアのセリフからどうぞ。

早く戦争になーあれ byドロシー・カタロニア

人は戦うことが好きなの。そして戦うことで本能を満たすのよ  byドロシー・カタロニア

ドロシーの言うように、人の本性は「戦争状態」である、とカントは述べています。

一緒に生活する人間の間の平和状態は、なんら自然状態(status naturalis)ではない。自然状態は、むしろ戦争状態である。言いかえれば、それはたとえ敵対行為がつねに生じている状態ではないにしても、敵対行為によってたえず脅かされている状態である。それゆえ、平和状態は、創設されなければならない。

『永遠平和のために』イマヌエル・カント

だからこそ、理性によって「平和状態を作らなければならない」という主張です。

平和を作るための条件

では、その平和を作るための条件とは?

ガンダムWの作中では、ゼクス・マーキスことミリアルド・ピースクラフトに次のように喋らせています。

完全平和を作るためには条件がある。

一つは全ての兵器を排除すること、もう一つは人々から戦う意志を取り除くことだ。 byゼクス・マーキス

カントの著書では、ちょっと用語は難しいですが似たようなことが書かれています。

全ての武器を排除すること!

第3条項 – 常備軍(miles perpetuus)は、時とともに全廃されなければならない。 『永遠平和のために』イマヌエル・カント

人々から戦う意志を取り除くことだ!!!

この戦争状態を解決するためには、国家同士が締結する平和条約だけでは足りない。なぜなら平和条約はある特定の戦争の集結を目的としているにすぎず、永遠平和状態を目指すものではないからだ。

理性は、道徳的に立法する能力をもち、永遠平和状態を樹立することを義務とする。そこで各国家は、相互の契約にもとづき平和連合を作るべきである。連合した諸国家は、それによって権力を得ようとしてはならない。そうではなく、自由を自発的に維持し、互いに保障することが求められるはずだ。

カント『永遠平和のために』を解読する

いま現実世界では193カ国が国際連合に加盟し、 安全の維持・友好関係の発展を目指しています。

しかし、全ての国で武器を全廃するまでにはまだ長い道のりとなりそうです。

ガンダムWの世界と現実世界の戦争をそれぞれ見ていきましょう。

コロニーvs連合軍→アメリカ対テロ戦争

ガンダムWといえば、自爆シーンがいっぱいありますが、これは明らかに「テロ」を想起させます。

コロニー側の破壊工作作戦『オペレーション・メテオ』から第一話の冒頭が始まります。

地球から巣立った人類は、宇宙コロニーでの生活に、新たな希望を求めていた。
しかし、地球圏統一連合は、正義と平和の名のもとに、圧倒的な軍事力をもって、各コロニーを制圧していった。
アフターコロニー195年。作戦名、オペレーション・メテオ。
連合に反目する一部のコロニー居住者達は、流星に偽装した新兵器を地球に送りこむ行動に出た。
だが、この作戦は、既に連合本部に察知されていた。

第1話 少女が見た流星

作品以前の1990年台、アメリカとテロとの戦いは既に始まっていました。

1991年の湾岸戦争にて、アメリカ軍がサウジアラビアに駐留。

これがイスラム原理主義の過激派を刺激し1993年には、世界貿易センタービル爆破事件が起こり、8人が死亡、1000人以上が負傷しました。

そこからアメリカとイスラム過激派の報復合戦は拡大し、Wが放映された6年後、2001年9月にはついにアメリカ同時多発テロ事件が発生。

同時に5機のガンダムが地球に降り立ち破壊工作をするオペレーション・メテオは、まるで未来の世界同時多発テロを暗示していたかのようにも思われます。

っていうか、主人公のヒイロたちはテロリストなんですよね。

さて5機のガンダムは情報戦を制した連合軍に一杯食わされ、コロニー側は降伏に追い込まれます。

しかし、ガンダム開発者のドクターJの降伏宣言は…

降伏はする、しかしガンダムは渡せん。繰り返す。降伏はする、しかしガンダムは渡せん。by ドクターJ

任務、了解。 by ヒイロ・ユイ

そして、顔色ひとつ変えずに自爆するヒイロ。

主人公死んだか!?ってところで前半のクライマックスとなります。

ためらいもなく命を捨てるテロリスト、得体が知れず恐ろしいですね。

太平洋戦争では捨て身の玉砕をかましてくる日本兵を、アメリカ兵たちは不気味に思っていたのでしょうか…。

というわけで、今はすっかり平和ボケな日本の平和主義と、ガンダムWのヒロイン・リリーナ様の平和主義国家サンクキングダムを比較してみましょう。

平和主義国家サンクキングダム→日本の憲法九条

リリーナは地球統一連合・ドーリアン外務次官の一人娘で、お誕生会にへの招待状をヒイロに破かれて涙ぐむお嬢様キャラでした。


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ところが、実はかつて完全平和主義を唱えて連合軍に滅ぼされたサンクキングダムの王女、本名リリーナ・ピースクラフトであったことが判明します。兄はゼクス・マーキス(本名ミリアルド・ピースクラフト)。

完全平和主義を提唱し、王女として王国の再建を宣言します。

平和は、戦争から生み出されるものではありません!

人は戦う動物だからといって、このままで良いとは思えません。戦わずに平和を実現する道を、人間は選べると、私は信じています。

私達に必要なのは、主義や主張ではなく、平和を望む心です。 byリリーナ

完全平和主義で武器を放棄していたはずのサンクキングダムですが、的の襲撃に見舞われてしまいます。

憲法9条はミサイルを除けてくれないのか…!!

とそのとき、白いトーラスが登場し危機を救います。ノインが内緒で軍備を用意していたのでした。

リリーナの平和主義に反するかに思われましたが、防備の必要性を理解したリリーナはノインを咎めることはありませんでした。

しかしOZの勢力が拡大し、リリーナは完全平和の意志を貫くために自ら主権を放棄、王国は再び解体されます。

日本は平和主義を掲げ、いまのところ70年以上も平和が続いています。

日本国憲法第9条で「軍事力の不所持」が規定されていますが、解釈はいろいろ分かれるところがあります。

また、サンクキングダムのトーラスのように、日本には自衛隊という「軍隊ではない超強い軍隊らしきもの」が存在しています。

「日本の平和主義は脅威に直面しないことが前提になっている」との批判もあります。

武力を放棄して平和を貫こうとしたときに、敵が迫ってきたら日本はどうするべきか。

防衛のために武器をとることはやむ無しとするか、あくまでも武力を放棄してサンクキングダムのように主権を差し出すのか…。

よく考えなければなりませんね。

モビルドール→アフガン戦争のロボット兵器

戦争の倫理を問うテーマとして、今度はみんな大好きトレーズ閣下エレガントな名言を見てみましょう。

普通のモビルスーツにはパイロットが登場しますが、OZでは無人の「モビルドール」が開発されました。

デルマイユ公。私はロームフェラー財団の進む道に賛同しかねます。

古き良き伝統とは、人間の奥深い感情が築き上げた、労りの歴史。

私は、戦う事が時に美しいことと考えるとともに、命が尊いことを訴えて、失われる魂に哀悼の意を表したい。

私は、人間に必要なものは絶対的な勝利ではなく、戦う姿、その姿勢と考えます。

しかしモビルドールという心なき戦闘兵器の使用を行うロームフェラー財団の築く時代は、のちの世に恥ずべき文化となりはしないでしょうか? by トレーズ・クシュリナーダ

これは、モビルドール、これはそのままハイテク無人兵器を表すものととれます。

過去のNHKスペシャルで『貧者の武器とロボット兵器』というドキュメントをやっていました。

貧者の武器というのは、アフガンでアメリカ軍と戦うタリバン兵が使うカラシニコフ銃やロケット砲、体に爆弾を仕掛けての自爆テロなど古く安価な武器のこと。

対するアメリカ兵は、ロボット兵器を投入。遠隔操作による爆撃機やミサイルで、パイロットはアメリカ本土のモニターの前から爆撃します。

人を殺すのに、自分の身には一切危険がない、まるでゲーム感覚です。

騎士道のような戦いの美学をもつ閣下は、そういった人間性の通わない戦争を批判しています。

よく覚えておきたまえ。礼節を忘れた戦争は殺りくしか生まないのだ by トレーズ・クシュリナーダ

ボタン一つで全ての戦いに決着がついてしまう時代があった。

その忌わしい精神の根源が、このモビルドールというものだ。そして延長にあるものが、あのリーブラだ。

戦争から人間性が失われれば、勝利も敗北も悲惨なものとなる。

神は、どちらにもその手を差し伸べてはくれない。  by トレーズ・クシュリナーダ

しかし、トレーズ閣下は戦争を賛美しているわけではありません。彼もまた、平和のために戦ってきたのです。

その思想が最も表れているエレガンとすぎるセリフとは…?

トレーズ閣下の思想→戦争は平和のための手段だが戦争は悪である

オペレーション・メテオで地球に降り立った人、張五飛(チャン・ウーフェイ)は、過去にトレーズを殺そうと襲撃しますが、剣での決闘に破れて命を見逃されています。

モビルスーツで再戦あいまみえることとなった五飛とトレーズ、二人のやり取りをまとめてどうぞ。

五飛: 何故あの時、俺を殺さなかった?

トレーズ: 数少ない私の理解者を、殺すことなど、できない。

五飛: ふざけるな!俺は、貴様が憎い!

トレーズ: ならば躊躇するな。

五飛: 貴様は、そうして人を見下すことしか出来ない男だ。しょせんエゴでしか戦っていない…!貴様のために、何人の人間が死んだと思っているんだ!

トレーズ: 聞きたいかね?昨日までの時点では、99822人だ。レディ、本日の戦死者は?

レディ・アン: 現在確認されているのは、ホイトファング82名、我が軍105名です。

トレーズ: そうか…あとで名前を教えてくれ。

五飛: きっ…貴様ァ!

トレーズ: 戦いの為に犠牲となった人々は、全て記憶している。ノベンタ、セプテン、ベンティ、ドーリアン、ワーカー、オットー、ブントー、みな、忘れられぬ人々だ。

五飛: 貴様という奴は…

トレーズ: 私は死者に対し、哀悼の意を表することしか出来ない。だが、君もこれだけは知っていてほしい。彼等は決して無駄死になどしていない。そして…!

※この先は作品でお楽しみください。

トレーズ閣下は、戦いに礼節を重んじ、戦いに生きる人ですが、その目的は真の平和です。

戦争に散った犠牲者の名前は敵味方問わず一人残らず記憶し死を悼みます。

しかし、同時に戦争は純粋な「悪」であるという考えも持っています。

だからこそ、自分を悪とみなし殺そうとする五飛を「数少ない理解者」であり「永遠の友」と呼んでいるのです。

どんな戦争も、何らかの「善い目的」で行われます。

平和のため、祖国を守るため、神様のため、経済を良くするため、統一のため、etc.

どんな素晴らしい目的であっても、たとえ正当防衛であろうとも、戦争は純粋な悲劇であること、そして奪う側の覚悟は忘れてはならないと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか? よく注目して見直してみると、他にもいっぱい面白いメタファーや元ネタが見つかるかもしれません。

最後に、平和の希望へのセリフを…

僕は一度…過ちを犯した。

許されるとは思っていないけど 僕の全てをかけてつぐないをしたい。

それが平和という希望を消さないことなんだ。夢を失ってしまったらそれで全てが終わりだから。 by カトル・ラバーバ・ウィナー

完全平和のために必要なものが、もう一つあった。

人を思いやり、理解してやる強い心だ。 byゼクス・マーキス

私たちも、身近な人間関係で精神的な戦闘状態になっている人といかに平和を作ることができるか、チャレンジしてみましょう!

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