思考を鍛える

映画・海獣の子供が3倍楽しめるスピリチュアルな考察

海獣の子供ネタバレ考察スピリチュアル風味
この記事を書いた人

高橋久美(たかはしくみ)

月間25万ページビューの人気サイトGLOBOのライター&編集長、複数のメディア運営に関わっている。

好きな海獣はアシカ。クラゲで有名になる前の加茂水族館はアシカショーが目玉だった(どうでもいい)。

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はじめまして、当ブログのライター高橋久美と申します。

先日、TOHOシネマズで『海獣の子供』を見て来ました!

何の割引にもならないデーでほぼ貸し切り状態で、アイスコーヒーを飲むのも忘れて見入ってしまいました。

私は「すげー良かった!!」という感想を持ったクチなのですが、好き嫌いの分かれる映画かなあと思いました。

そこで今回は、映画『海獣の子供』をもっと楽しむための、スピリチュアル視点からの考察や楽しみ方のポイントをまとめました。

前半は「ネタバレなし」の感想、後半は「ネタバレあり」の考察となっております。

映画をまだご覧になってない方は、前半だけ読んでブックマークして、映画を見てから後半を読んでいただくと宜しいかと思います。

映画・海獣の子供がスピリチュアル界隈で絶賛!

実は私、ファンというほど映画もアニメも見ない人間でよっぽど良いらしいと聞いたやつしか観ません。

映画館では1ヶ月に1本観るか観ないかぐらいで、あとはアマゾンプライムビデオで済ませちゃいます。

しかし、アニメーション映画『海獣の子供』はすごく良いらしい、とスピリチュアル系な人々の界隈で話題になっていて、見た人は揃って猛プッシュしていました。

「すごい壮大な神話的なメッセージが入っている」「非常に良い映画」「フラクタル的に見ると面白い」とのこと。

あらすじを一言で言うと、「少女がジュゴンに育てられた2人の少年に出会い、地球上で行われるある「祭」の目撃者となる話」らしいです。

この時点で謎ですよね(笑)。

いやいや、ジュゴンが人間の赤子を育てられんのかい! 一応哺乳類だから大丈夫なの?

これは、ちゃんと公式のストーリー紹介をチェックしなければ。

明るく純真無垢な“海”と何もかも見透かしたような怖さを秘めた“空”。

琉花は彼らに導かれるように、それまで見たことのなかった不思議な世界に触れていく。

三人の出会いをきっかけに、地球上では様々な現象が起こり始める。

夜空から光り輝く彗星が海へと堕ちた後、海のすべての生き物たちが日本へ移動を始めた。

そして、巨大なザトウクジラまでもが現れ、“ソング”とともに海の生き物たちに「祭りの<本番>が近い」ことを伝え始める。

“海と空”が超常現象と関係していると知り、彼等を利用しようとする者。

そんな二人を守る海洋学者のジムやアングラード。それぞれの思惑が交錯する人間たちは、生命の謎を解き明かすことができるのか。

“海と空”はどこから来たのか、<本番>とは何か。

引用:アニメーション映画「海獣の子供」公式サイト

なるほど、ちょっと具体的になりましたが、謎ですね!

うん、とりあえず観よっ!ってことで、映画館に行って参りました。

以下は「ネタバレなし」の感想です。

海獣の子供を見た感想・ネタバレなし

最初は『耳をすませば』みたいなノリで、女の子が出て来て夏休みの学校でハンドボールで活躍するんだけど、ちょっとしたハプニング発生〜みたいな平和な日常から始まります。

ところが、少年らとの出会いからは一気に海中から宇宙へ!の非日常な超展開!

「え、なんで? 何が起こってるんだ?!」と考える暇もありません。

正直、よく分からないシーンもたくさんありました。

でも映像が綺麗で、ずっと見入ってしまうような感じでした。

見た後の感覚は、『ハウルの動く城』とか『ダンケルク』に近かったです。

途中何やってんのか、どういう仕組みなのか、さっぱり訳わからないんだけど、主人公と一緒に訳のわからない出来事を一緒に体感できて、最後には心がじんわり暖かくなります。

海の大きさ、宇宙の大きさ、命の繋がりを実感できる素敵な映画だなあと思いました!

スピリチュアルか海洋生物が好きな人はすごく楽しめるんじゃないでしょうか。

なんで外国から来た少年らや海洋生物学者が日本語ペラペラなんだろ?とか、そんな泳ぎ方できんの?とか、それは流石に死ぬやろ!とか、細かいこと突っ込みたい人は見てて忙しいかもしれません。

日本に似てるけど、日本じゃない「そういう世界なんだな〜」とファンタジー扱いで見るのが良いかと。

ちなみに、ほぼ予習なしで見たんですが、「音楽いいなー」と思ってたら、久石譲と米津玄師でした!

「琉花役の声優さんいいなー、子役かな?」と思ってたら、芦田プロでした!

舞台挨拶のコメントもさすがですね!

難解なところもありますが、体感的にも楽しめて、心に残るものがある、もっと評価されるべき映画じゃないかと私は思います。

ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひ映画館に足を運んでご覧になってください。

せっかくなので、映画館の大きな画面で見ておいた方が良いと思います!

上映劇場情報はこちら→『海獣の子供』上映劇場情報

海獣の子供をスピリチュアル視点で考察・ネタバレあり

さて、ここからはストーリーの結末や核心に触れる部分のネタバレが含まれる考察となります。

まだ映画を見ていない人はご注意ください!

なお、原作は読まずに純粋に映画だけ見て書いています。

細かなプロットや人物の背景など映画では省略されているであろう部分については触れず、あくまでも映画本編から考察されるスピリチュアルなテーマをピックアップしました。

映画『海獣の子供』を更に楽しむヒントにしてもらえたら嬉しいです!

映画『海獣の子供』で一番言いたいことは?

「宇宙のフラクタル構造」が、この映画のメインテーマ(米津玄師じゃない方の意味で)になっています。

宇宙創造、生命創造のプロセス、生命の誕生、意識創造のプロセス…全てはフラクタル(相似形)になっていることが、映像とストーリーで描かれています。

分かりやすいのは、キャラクターのセリフで明確に語らせている部分ですね。

(記憶頼りなので、細かいところが違ったらごめんなさい!)

一つは、アングラードのキャンプで空くんが「星の誕生」と「意識」の相似性について語っています。

ガスや塵が周辺から集まって星ができるように、意識も中心となる出来事の周辺に細々したものが集まって、一つの記憶が形成される。星と意識は似ている、と。

また、琉花は「祭り」の最中に、「私の中に宇宙がある」と気づきます。

画面上には、太陽系と遺伝子、中性子の構造など、宇宙(マクロ)と人体(ミクロ)が交互に映し出され、大きさは違うけれど形はそっくりであることを示します。

こちらの映像をご覧ください。

軌跡をたどると、DNAのらせん構造にそっくりではありませんか?

太陽系は同じところをぐるぐる回っているイメージがありますが、実は系そのものが動いているので螺旋状になっているんです。

太陽系の動きと、

太陽系の螺旋の動き

DNAの形。

DNAの二重らせん構造

上記の動画の中では、さらに動物や植物にも同様の「らせん構造」が見られることを指摘しています。

人の人生もまた、らせん構造を持っています。

似たような1日を何度も繰り返して人生が進んでゆきますが、全く同じ日は二度とありません。

昨日よりも、ほんの少しだけ、何かを学習して成長できたり、他の人との関係性が変わったり、行動範囲が広がったり。

同じところをぐるぐる回っているようでも、全く同じ位置ではなく、らせん状に少しずつ進みながら人生の歩みを進めてゆきます。

人と宇宙はマトリョーシカのように、大きさが違う似た構造、相似形(フラクタル)なのです。

琉花は「祭り」を通して宇宙との繋がりを体感的に理解し、内面的に大きな変化がありました。

「祭り」以前は、自分の気持ちを上手く伝えられず、母親とも友達ともぶつかってばかりいましたが、繋がりを感じたことで乗り越えるキッカケをつかんだようです。

ラストの方に冒頭とそっくりの、玄関を出るシーンがあります。

でも、全く同じではなく、「行って来ます」の声のトーンが違ったり、逃げ回っていたハンドボール部の仲間にもボールを投げ返したり、距離が縮まって、関わることを恐れなくなりました。

らせんを一周回って少し前に進めたんですね。

どうやら、人と関わる恐怖が薄らいだようです。

死の恐怖は、人が、この宇宙間に一つの生命があるかぎりは、自分は生きているのだ、と悟るときにはじめて、克服されます。

彼が、「私はあらゆるものの中に、あらゆる人の中にいる、私は全ての生命の中にいる、私は宇宙である」と言うことができるとき、そのときにはじめて、無恐怖の状態はくるのです。

引用:『ギャーナ・ヨーガ 知識のヨーガ』スワーミー・ヴィヴェーカーナンダ, 日本ヴェーダーンタ協会, 2016, p39

私も宇宙の一部であり、私の中にも宇宙がある。誰も一人ぼっちじゃないよ!怖くないよ!

…ってのが、この映画で一番言いたいことなんじゃないかな、と私は感じました。

そんな一体感を感じると、乗り越えられなかった壁を克服するパワーが湧いて来ます。

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宇宙はどうやって始まったのか?

宇宙の全ては相似形をしている…ということは、生命の誕生のプロセスには宇宙の誕生のプロセスのヒントがあるはずです。

「星の、星々の、海は産み親」

地球上で初めて生命が誕生したのは「海」だと言われています。

バラバラになっていた有機物が組み合わさって生き物の形ができるのは、腕時計をバラバラに分解して25メートルプールに投げ入れ、それが偶然にまた腕時計の形に戻るくらいの奇跡的な確率です。

星もまた、宇宙という海の中で生まれることが、映画で描かれていたことです。

では、宇宙はどうやって生まれたのでしょうか?

一般的なのは、無からいきなり爆発が起きて宇宙ができた、とするビッグバン理論です。

何もないところからどうやって爆発が起きるの? と疑問を持たれる人もいるでしょう。

ところが「ひも理論」によると、無とは完全に何もないわけではないようです。

ひも理論とは、すべての物質を作っているのは超極細の「ひも」である、と考えるものです。

そのひもが輪になったり、伸びたり、揺らいだりして性質を変えているとすると、様々な物理現象が上手く説明できるらしいのです。

「無」と呼ばれる状態は何も無い状態に見えるけれど、本当に何もないのではなく、まったく目には見えない、気が遠くなるくらい小さな小さなひもが揺らいでいる状態があって、そこからビッグバンにつながったというのです。

引用:『古事記の宇宙』竹内睦泰, 青林堂, 2016, p46-47

何も無さそうな海の水の中にも小さな小さな物質が漂っていて、そこから生命が始まったように、宇宙も小さなひもが漂う「海」から始まった…のかもしれませんね。

生命は、宇宙はどこから来たのか? 何のために生まれたのか? 映画『海獣の子供』は、観る人にそんなことを考えさせます。

空と海の正体は?

空と海は、ジュゴンと一緒にいるところを保護され、いろんな検査を受けていました。

検査の結果、肌が乾燥しやすい以外は全く異常なしの「普通の人間」であったとのこと。

海と空も自分たちが何者なのか、どこから来たのかを知りません。

「海の何でも屋」デデも、かつて海と空にそっくりな少年に会ったと言いました。

彼らは人魚なのか、宇宙人なのか、その正体は最後まで謎のままでしたが、彼らはゲストである琉花に生命誕生の神秘を見せるために導く役目を持って生まれて来たことだけは確かです。

「人魂」に吸い寄せられ、海の生き物たちと一緒に祭の「本番」を目指します。

そして空は先に寿命を迎え、流花に石を託すと光になって消えてしまいましたが、それもまた「祭」に必要なプロセスだったと考えられます。

生命が誕生したのは「海」ですが、最初のビッグバンが起きるためにはエネルギーが必要でした。

それが、太陽から降り注ぐ「光」のエネルギーです。

地球上のほとんどすべての生物は、太陽の光からエネルギーを受け取って生きています。

光がなければ植物プランクトンが光合成できず、それを食べる動物プランクトンも魚たちも生きて行けません。

人魂、夜光虫、真夏の太陽、新月の星空…空の登場シーンは「光」が印象的ではなかったでしょうか?

空と海、流花が見た共通の景色も「光るジンベイザメ」でした。

生命のゆりかごとなる「海」に光のエネルギーを与える役割を持つのが「空」だったのでは、と私は解釈しています。

では、「祭」とは何か? なぜ人間のゲストに見せる必要があるのでしょうか?

これも明確な答えは作中では述べられていませんが、人々に「大いなるもの」の存在を思い出させるため、ではないかと思いました。

海や空、祭そのものを利用しようとする悪そうな組織がチラッと登場しますが、彼らは「自然は人が征服し、コントロールできるもの」という西洋的な思想の象徴です。

人類は世界で一番高い山には登っても、世界で一番深い海にはまだ到達していません。

宇宙のことも、人体のことも、まだまだ分からないことだらけ。

まあ、普段はそんなこと考えませんよね。

システマチックな都市で、快適に暮らしていて、「雨が降ったら嫌だなあ」とは思ってもそんなに怖いとか、神様的な存在を感じたりはしないでしょう。

ところが「祭」に向けて海の生き物たちが普通でない動き方をすることに、人々は不気味さを感じました。

そういった「自然へのおそれ」を人類に思い出させる定期的なイベントが「祭」なのです、多分。

なぜ瑠花はクジラに食べられたのか?

瑠花がクジラに食べられるシーンは、この映画の訳が分からないシーン・ランキングの上位に入りそうです。

なんで食べられて平気なの? 息できないよね? どこから出て来たの???

と思われた人は多いのではないでしょうか。

実は、『クジラの腹の中』は神話において「子宮」のモチーフなのです。

神秘の境界を超えることは再生の領域に入ることであるという概念は、クジラの腹の中という世界中で知られる子宮のイメージで表される。

英雄は境界の力に打ち勝ったり折り合いをつけたりする代わりに未知のものに飲み込まれ、死んだように見えることもあるだろう。

引用:『千の顔を持つ英雄・上』ジョーゼフ・キャンベル, 早川書房, 2016, p136

例えばディズニー映画の『ピノキオ』も、同じ神話のモチーフが使われています。

木でできた操り人形のピノキオは、女神様に心をもらいますが本物の子供にはしてもらえませんでした。

ところが、クジラに飲み込まれて脱出することによって、本当の人間の子供に生まれ変わります。

これは、「クジラの腹の中=子宮」から出て、新たな生命として誕生することを表しているのです。

これを踏まえ、改めて『海獣の子供』を見てみましょう。

琉花は空から引き継いだ隕石をお腹の中に入れたまま、子宮であるクジラの腹の中に入って行きました。

そして、そこへ海も現れます。

隕石を海に渡すことで「受精」し、新たな星の命が誕生したのです。

この時、琉花は一度「ダメ!」と海に隕石を渡すまいとしますが、その後、赤ん坊に戻った海に隕石を食べさせます。

見たときはちょっと謎だったんですが、琉花は海の現在の生に執着があって、海が空のように消えてしまうことを恐れたのではないかと思います。

しかし、海の身体の変化を目の当たりにして、なすべきことに気づいたのではないでしょうか。

星も、人の命も、永遠ではありません。その時が来れば形を失い、命を終えます。

しかし、何もかも無に戻るわけではなく、星が爆発したチリはまた新たな星の材料になります。

人もまた、子供を残して命のバトンを繋ぎ、朽ちた肉体は分子に分解されて自然に還り、他の生命の一部となって循環し続けます。

というわけで、琉花がクジラに飲まれたのは、子宮のモチーフであるクジラの腹の中で「生命の誕生」を象徴的に描くためであったものと考えられます。

どういうメカニズムで出て来たのかは、多分、中で宇宙みたいなことをやってたらクジラがムズムズしてくしゃみをし、鼻の穴から飛び出したのでしょう(適当)。

「同じものを見た」の意味は?

日本で普通に育った中学生の琉花と、ジュゴンに育てられて保護された変な少年たち。

両者は全く別の背景を持ち、とんがった性格の空と琉花は険悪なムード。

なんだ、海くんをめぐる三角関係なのか?!そんな展開を喜ぶのは腐女子だけだぞ…!

しかし琉花は「祭り」を目指して少年らと行動を共にします。

3人をつなぐものは、以前それぞれに見た「同じ景色」でした。

ジンベイザメが光り、その時も地球のどこかで祭りが行われていたのでしょう。

考え方も、行動様式も、性格も何もかも合わない異質な者どうしが協力し合うには、同じ方向を向いていることが必要です。

過去に何があったのか、琉花の両親の心もバラバラになっていました。

お父さんはしばらく帰って来ていないらしく、お母さんはアルコールに浸り、流花に依存気味で干渉する状態。

ところが、「行方不明になった流花を救出する」という同じ方向性を向いたときに、二人は新たな関係性に一歩踏み出すことができました。

あなたとパートナーがいっしょに選択した共通の目標やコミットメントがあるのなら、たとえどんな対立が起きても、それは目標に向かう途上で通過することの一つにすぎません。

一つ一つの対立を解決していくにつれて、パートナーシップが一段ずつ築かれていくのです。

引用:『傷つくならば、それは「愛」ではない』チャック・スペザーノ博士,2018, p302

なお、広い海のど真ん中のどこにいるかもわからない流花を、普通の漁船みたいな設備で捜索に行った両親がどうやって見つけられたのかは、謎です。

いや、愛の力です!!!

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分離から統合へ

「祭り」がキッカケでご両親の愛が盛り上がったのか、エンドロールの後に流花のきょうだいが誕生しました。

臍の緒を切るとき、流花は「命を切り離す感触がした」といったようなことを言います。

子宮の中では、母親と一体になっていた赤ん坊は、外の世界に放り出され、命が切り離されます。

ですが、別のシーンで流花は「私の中にお母さんがいる」とも言いました。

最初はお酒ばかり飲んで絡んでくる母親をうとましく思い、なるべく顔を合わせないように逃げるように出かけていた琉花。

母親との間には心の壁がありました。

母親だけでなくハンドボール部の仲間たちにも壁を作っていました。

  • 自分が、いい動きを見せたい
  • 自分が、傷つけられたのが許せない
  • 自分から謝るのは嫌だ

「自分」と「他者」が完全に分離し、孤独を感じていたのです。

ところが海は、まるで空を飛ぶようにスルリと流花の壁を乗り越え、外側の世界に誘います。

一方の空は流花に対して、「キミはつまらない子だね」などと言いたいことを言いたい放題(笑)。

感情を内側にしまいこみがちだった流花も、これにはプンプンで、感情を外に出すことを思い出しました。

さらに、海が熱を出し、流花が波打ち際で看病するシーンに注目!

流花は海に子守唄を歌ってやりますが、その歌は自分が小さいときに母親が歌ってくれたものだったことを思い出します。

ここから母親との、人との繋がりや親密さを取り戻して行きました。

親密さは、全てを癒す力です。

恐怖も、孤独も、自分には何の価値もないと思う無価値観も、誰かとの親密感で吹き飛んでしまいます。

それは、ただ、自分の心の壁を壊して、親しみを持って相手に近づいていくことです。

一番大切な約束は、言葉では交わさない。

この映画では、言葉による説明がだいぶ省略されています。

『2001年宇宙の旅』ほどではないけれど、あれ、今何が進行してるの??と思うところがありませんでしたか?

そのせいで難しそうな感じになっちゃってるのかなあと思います。

言葉の説明は具体的でわかりやすい一方、情報量が少なく誤解を生みやすくもなります。

ジムがクジラのソングの説明で、「クジラは、人が言葉で話すよりも多くを伝え合っているのかもしれない」みたいなことを言っていました。

人どうしも、時には言葉を使わない方が多くを伝えられることがあります。

流花の父親が自宅に戻ったとき、母親は桃(かな?)をカットして食べさせました。

それをキッカケに2人の関係性は回復に向かいます。

あれこれ説明するよりも、心を込めて作った食べ物や、子守歌や、いっしょに泳ぐことの方が多くを伝えられるのです。

この映画そのものも、言葉以外の映像や音楽やストーリーの構造を使って「一番大切な」テーマを伝えようとしているように思います。

きっと、あちこちにナレーションや字幕を追加して「説明」すれば、「なるほど、そういうことね〜」と分かりやすくはなったかもしれません。

でも、それは本当に伝わったことになるのでしょうか?

「宇宙と生命の誕生」という言葉を見た時に、受け取る人が思い描くイメージはそれぞれ違います。

どこかで見た図鑑のようなイメージをする人もいれば、動物の赤ちゃんを思い浮かべる人もいるでしょう。

伝えたいものが立体だとしたら、言葉は一、その立体の影みたいなものです。

情報が欠落した「影」だけを見て、元の立体を復元しようとしても、いろんな立体が想像できてしまいますよね。

一本の映画は、その立体にいろんな方向から光を当てて、より立体的に、体感的に見せてくれます。

映像や音、物語は言葉で伝えきれない「感覚」を補ってくれるのです。

現に、1万文字程度のブログでは『怪獣の子供』の魅力を伝え切れません!!

当たり前ですが、どんなにここで言葉で語り尽くすよりも、実際に映画を見てもらった方が圧倒的に伝わるはずです。

「家族の絆」とか「宇宙との一体感」と言葉で言われてもあんまりピンと来ませんが、映画『怪獣の子供』を観て、体感すると、「これがアレか!」と感覚で理解できるでしょう。

愛とか勇気とか、抽象的なものほど、言葉では伝えにくいもの。

家族や大切な人には、時には言葉でない何か…たとえば、丁寧にお茶を淹れてあげるとか、マッサージをしてあげるとか、キャッチボールをするなどで、愛を伝えても良いかもしれません。

映画『怪獣の子供』ネタバレ考察まとめ

『海獣の子供』は、宇宙誕生と生命誕生、そして人の人生のフラクタル構造を、美しい映像と音で描いた、スピリチュアルなテーマが盛り沢山の映画です。

原作を知らなくても、何が起こってるのかよく分からなくても、宇宙の、海の、そして人の愛の大きさの「体感」を楽しむことができます。

宇宙との繋がり、あらゆる生命との繋がり、両親や他の人々との繋がりを感じ、暖かな一体感を取り戻すことで、自分で作っていた壁を克服するきっかけができるのです。

このブログでも色々と考察しましたが、映画を見るときは気持ちをまっさらにして、

「Don’t think! Feel.」(燃えよドラゴンより)

が良いんじゃないかなと思います。

そう、「一番大切な約束は、言葉では交わさない。」ように、クジラのソングが見せる映像や、映画全部の体幹で得られるものに比べたら、言葉で考えることの情報量なんて非常に少ないのです。

結論:映画館で、もう1回見よう!

抽象度が高すぎるせいか、海の生き物がちょっと怖いせいか、この映画、残念ながらヒットする気配がありません。

上映期間は短いし、上映してない映画館も多いみたい。

あのスケールの映像は絶対に映画館の大スクリーンで見た方が良いので、気になる方、もう一度みたい方は早めに映画館にGO!

私も、もう一回観ようかな。高橋久美でした。

ABOUT ME
高橋久美
会社を8年でやめてフリーライター4年目。たまたまブログから見つけた佐藤想一郎さんのご縁で最高の仲間たちと出会い、WEB媒体の他、最近はブックライティング、雑誌の編集など忙しくも充実した毎日を送っている。読んだ人の心が明るくなって、人生まで良くなってしまうような文章を目指して修行中。→ 詳しいプロフィールはこちらから
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