行動を変える

給与分しか働かないべきか、給与以上の仕事か?搾取が悔しいなら…

給料以上に働くべきか

あなたの会社には、給与分しか働かないのが悪いような風潮はありませんか?

くろすけ
くろすけ
新入社員が集められて社長の講演会聞かされたんだけど、「君たちには給与以上の仕事を期待する」だってさ。これって噂のやりがい搾取ってやつかな?
久美先輩
久美先輩
そーゆーことは給与に見合った働きをしてから言いな!
くろすけ
くろすけ
ひぇっ、すいません!
久美先輩
久美先輩
でも、まあ他に目標とかやりたいことがあるなら、テキトーに省エネで働いても良いと思うよ
くろすけ
くろすけ
ええー、どっちなんすか?!

まずは、なぜ会社が社員を給与以上に働かせたいのか、理由を知っておきましょう。

給与分しか働かないと、会社にとってまずい理由

ワーカホリックな日本の企業風土…の前に、会社という仕組み上、従業員が給与の分しか働いてくれないと困ってしまう事情があるのです。

その理由は主に3つあります。

1.採用するだけでも費用がかかっているから

大学新卒を一人雇うのに、企業は広告費や会社説明会の運営費、ホームページや入社案内パンフレット、テレオペの外注費など、ものすごいお金をかけています。

新卒を1人採用するのには、なんと平均53.4万円*もの費用がかかっているのです。

採用した時点ですでに初任給の2ヶ月半分を払ってるようなものなんですね。

アルバイトはというと、1人あたり平均で52,000円**の採用コストがかかっていて、これもなかなか。

さらに、雇ったからといって即戦力になるわけではなく、少なくとも最初の数日とか1ヶ月は仕事を覚えてもらうための研修になります。

研修のための場所や人員、機材など、見えないコストもかかっているんですね。

だから、「とりあえず3年は働け!」っていうのは、新入社員の立場でどうこうっていうよりも、せっかくお金かけて雇ったんだから、最低でもそのぐらいはいてもらわないと元が取れないという企業側の事情なのです。

*2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査
**アルバイトにかかる採用コスト、把握していますか?

2.毎月の給料に5万円以上も意識の違い

仕事を覚えてバリバリ働けるようになってからも、社員がもらう給与以上に、企業にはコストが発生しています。

給与の額面が16万円だとしたら、各種社会保険の会社負担分は2万円を超えますから、企業が払う人件費は毎月18万円ちょっとになります。

一方で、社員の方は社会保険料が3万ぐらい引かれて手取りは13万円程度になります。

働く側としては、「手取りの13万円分は、まあ頑張って働くか」という意識なのに対して、会社側は「雇うのに18万円もかけてるんだから18万円以上の働きをしてくれないと損する!」と思っている。

ここに5万円分の格差があるのです。

だから従業員は「もっと働きに見合う給料よこせ」、会社は「もっと給料に見合う働きをしろ」とすれ違いが生じるわけです。

参考:給与の額面だけだと思ったら大間違い!社労士が教える人を雇うときにかかる本当のコスト|社会保険労務士川嶋事務所 所長ブログ

3.会社は株主のために利益出さなければいけないから

給料以上の働きをしなければならないのは、「株式会社」という仕組み上の必然でもあります。

会社は誰のものかというと、会社で働く社員みんなのものではなく、社長のものでもなく、株主のものです。

会社を作って運用するための資本を出した株主が、社長に経営を任せて、社長が従業員に仕事を任せている、ということになっているんですね。

創業したての企業や中小企業だと社長=株主であることも多いのですが、ともかく株を持ってる人たちがその割合に応じて会社をどうするか決定権を持っています。

そして、会社は資本を出してくれた株主に、お礼として利益を配当しなければなりません。

会社の売り上げから材料とか人件費とか、いろんな経費を引いて、残ったお金は株主に配られます。

だから、給料と仕事がちょうどトントンではダメで、何かプラスを出さなければいけません。

とある経営者は、従業員にこんな話をしています。

ぼくは、この会社で一番月給をもらっている。かりに100万円だとすれば、ぼくが100万円の仕事をしていたのでは、会社に何らのプラスもない。少なくとも1千万円、あるいは1、2億円の仕事をしなくてはならない。同じく、皆さんの月給がかりに10万円で、10万円の仕事しかしないようではいけない。最低でも30万円、願わくば100万円の働きをしてほしい。それができているか、日々自問自答し、他人にも評価を求め、自分の働きを高める努力を心がけるべきだ
社員の働きと給料の関係|松下幸之助.com

また、別の場面では、新入社員を集めて「給料が10万円なら30万円分の働きをしろ」と訴えたそうです。

松下幸之助の言う「給与以上の働き」とは、会社に利益を生み出すべしということであって、サービス残業をせよ、という意味ではない…と思います。

ただ漫然と働くんじゃなしに、会社の利益がプラスになるように一人一人が努力なきゃ会社がやっていけないよ、とこういうわけですね。

非正規にまで「給与以上の仕事」を求めて良いのか?

が、松下幸之助の談話は高度経済成長期の真っただ中のときのこと。

2018年現在は働く人の37.3%、5460万人が不安定な非正規雇用です***から、会社の経営意識や会社の仕事のための自己研鑽を要求するのは、少々酷かもしれません。

***2017年「労働力調査」

日経のツイートが炎上

日本経済新聞のツイッターで、「バイトが店を担う意識を」と主張する記事が紹介されたところ、900件を超えるリプライが寄せられ、プチ炎上の様相となりました。

そのツイートがこちら。

主な反論の内容は、

  • 非正規雇用に責任を負わせるべきではない
  • 低賃金でいつ切られるかも分からずに働くパート・アルバイトに経営者意識まで求めるのは「やりがい搾取」だ
  • バイトは社会勉強ではなく時間の切り売り

など。

批判というよりも、悲痛な声に聞こえます。

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会社と人生を共にする時代は終わった

松下幸之助の時代は、会社が潤えば自分も出世して給料が増えていく夢があったので、社員も頑張ったのでしょう。

しかし、今の非正規労働にそんな夢はありません。

私が一時期バイトをしていたファミレスでは、社員より仕事ができるのに給料は5分の1のパートさんがいました。

派遣で働いてたコールセンターでは、どんなに成約をとっても、対価は「賞賛とお菓子」だけ。

バイトの中には、それでも頑張ろうとしちゃう真面目な人、冷めてたんたんと与えられた仕事をこなす人、ぜんぜんやる気のない人…いろいろいました。

でも、みんな時給はほとんど一緒でした。

それでも、会社で働くのは圧倒的に楽だ。

私は、新卒で会社員をやり、5年後にフリーランスになって、今はまた別の会社で働いています。

いっぱい人をやとって経営とはいかないものの、一人で小さなビジネスをやる経験をして、思うことがあります。

それは、会社員はやっぱり楽だ!ということです。

資本も技術もないのに仕事ができるということ

私は文章を書くライターなので、必要な設備や経費は、せいぜいパソコンとかICレコーダー、資料の本、取材にいく交通費ぐらいなもんでした。

それでも、自分で営業から請求から確定申告までやらななければならず、来月仕事がある保証はどこにもない、パソコンが壊れたら自分で買わなきゃいけない、という状況は会社員より断然大変でした。

一人で好きなようにできる気楽さはありましたが、お金を生み出すってこんなに難しいことなのか、としみじみ思いました。

それこそ、飲食店なんてどこかの店で働くのはすぐですが、自分で経営しようと思ったら大変です。

資金を調達して、土地とか店舗とか準備して、仕入れて、人を雇って、税理士頼んで、それで利益がでるかどうかはどこにも保証がありません。

って思ったら、会社員とかバイトで適当に働いてもとりあえず給料が振り込まれる身分は正直、楽です。

給与以外に受け取っているものがある

しかも、仕事をタダで、というかお金を払って教えてくれるんですよ。

フリーランスだと、技術を身につけるには自腹でセミナーに出たり、本を買ったりして勉強しなきゃいけない。

だからって低賃金でこき使うブラック企業を肯定するわけじゃないけど、会社という場で働けることにもっと有り難みを感じるべきだと思うんですよね。

去る11月24日は「勤労感謝の日」でしたが、これは働いてる人に家族が感謝する日ではなく、働けることそのものに感謝する日、という意味なのだそうです。

仕事があるだけでもありがたい。悔しかったら、自分が社長やってみろ!ってことですよ。

完全にフルコミットするか、割り切って省エネするか。

話を戻しましょう。

上記の通り、会社は払う給与以上に人を雇うのにコストを払いながら、利益を出していかなければなりません。

すると、利益をいっぱい生み出しながら、長期間働いてくれる人材が理想になるわけです。

儲かってるのに給料が安い理由

だからおそらく多くの企業は、新卒の給料はあえて少なくして「お金よりもやりがいのある仕事がしたいです!」っていう人が来るようにフルイにかけてるんだと思います。

給与で会社を選んだ人は、もっと給与の良いところを見つけたらさっさと転職して行っちゃうから。

でも、就職する側も、わかってるから「やりがいのある仕事がしたいです! (給与とか福利厚生なんて気にしてないよ)」って演技をして、会社に潜り込む。

正社員なら、不完全ながらもいちおう評価制度とか賞与とかで頑張りが認められることもある。

だけど、非正規はいくら頑張っても、せいぜい褒められるか、時給が10円アップするか、社員が旅行に行った時にお土産を買って来るぐらい。

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バイトで働く個人が取るべき方針とは?

もしも私が時給1000円で働くアルバイトの立場だったら、つぎのどっちかの方針に振ります。

  1. その業界で成り上がるべくフルコミットしてやる
  2. 関係ない目標を目指すので、なるべく省エネで最低限の仕事をする

中途半端に頑張って、何にもならないのがいちばん損だと思うんです。

どうせ頑張るなら、たとえその会社では昇進できなかったとしても、業界で通用するだけの知識や技術を身につけて、あわよくば人脈も作れるよう、給与を度外視してフルコミットするべきです。

そうすれば、ヘッドハンティングとかで良い転職先に移ってもいいし、独立して自分の会社を作ってもいい。

または、本当に生活のためのお金と割り切って、クビにならない最低限の仕事をした方がいい。

私は派遣をやってた時代は、完全なる省エネモードでした。



給与以上の仕事はしないバイトでした

本業のライターで稼げるようになりたいのであって、コールセンター業界で派遣から契約社員になって、社員へ…みたいな出世をしたいとは1ミリも考えてませんでした。

もちろん与えられた仕事は一応こなしましたが、残業の協力とかスキルアップとかはヤル気ゼロ。

その代わり、ライティングの仕事や勉強は寝る間を惜しんで頑張ってました。

それで「給料に見合った働きをしろ!」とかって上司が怒ってきたら、適当にスルーすればいいし、逆に自分にとって仕事が大変な割に給与が見合ってないと思えば別のバイトを探せばいいだけじゃないですかね?

「自分の働きを高める努力を心がけるべきだ」という信念は素晴らしいと思います。

けど、それは、『今たまたま働いてるバイト先』とか『新卒で入った会社』ではなくて、人生を長いスパンで見たときに、本当に自分のライフワークだと思える仕事に対して持つべき信念です。

それは何か別の仕事かもしれないし、趣味かもしれない。

ライフワーク、幸せな働き方

だから、「自分は飲食をやって、いつか自分の店を出すんだ」って思ってる人は、ブラックバイトだろうとサービス残業だろうと、フルコミットして好きなだけ働いたら良い。

将来お笑い芸人になりたければ、コンビニのバイトなんか多少テキトーでもバックレてでも、芸を磨くことに全力を注いだ方が良い。

自分のライフワークにフルコミットして、それ以外は完全にやめるか、省エネで最低限の生活費を稼ぐかするのがいいと思います。

私のライフワークは、「文章」です。

人から学んだ知識や経験から得た知恵を、文章にして他の人や未来の世代の人たちに残したい、そのために生涯をささげたいと思っています。
(ちょっとカッコつけました笑)

フリーランスとして、一人でやってみて良かったこともあったけど、今はまた会社のメンバーとしてライティングの仕事をしています。

自分の信念と、会社の事業・理念が近いので、フルコミットで働けていて、とても幸せです。

久美先輩
久美先輩
あ、でも定時で帰りますけどね!

まとめ

会社は、従業員を雇うのに給料以外にも多大なコストを支払い、なおかつ利益を出して株主に配当しなければなりません。

だから、会社は従業員に給料以上の仕事を求めます。

しかしながら、非正規雇用が多い現在は、「薄給バイトにそこまで要求すんな!」という声ももっともだと思います。

実際バイトがいくら会社のために利益を出しても、ほとんど何のリターンもありませんからね。

働く個人としては「今たまたま働いてる会社」よりも、自分の人生を長い目で見た時にやるべき仕事を頑張るべきだと思います。

もしも、自分のライフワークが会社の仕事と重なっていたら、それはとても幸せなことです。

ABOUT ME
高橋久美
会社を8年でやめてフリーライター4年目。たまたまブログから見つけた佐藤想一郎さんのご縁で最高の仲間たちと出会い、WEB媒体の他、最近はブックライティング、雑誌の編集など忙しくも充実した毎日を送っている。読んだ人の心が明るくなって、人生まで良くなってしまうような文章を目指して修行中。→ 詳しいプロフィールはこちらから
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ここまで読んでくださって、ありがとうございます。管理人の佐藤想一郎と申します。

私が執筆しました、レポート『Cycle(サイクル)』では、今まであまり語られることのなかった〝引き寄せの法則の、もう1つの側面〟について書いています。

・「ワクワク」のダークサイド(暗黒面)とは
・9割の人が見落とす〝引き寄せられない〟根本原因
・想像すら超えた未来を引き寄せる、運命を変える秘訣

といったことにも触れています。

よろしければ読んでみてくださいね。

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