新卒で最初から派遣に登録する「新卒派遣」、その実態はどうなのでしょうか?
このままどこにも就職できなかったらどうしよう…。
そうだ、派遣ならいちおう社員だから、フリーターよりはいいかなあ?
やっぱり就職に失敗して仕方なくなったのかな?
今回は、私が出会った新卒派遣の人たちの実態をご紹介します。
目次
新卒派遣の実態、私が出会った3人のケース
私が働いてた派遣先は、某大手通信会社のコールセンター部門でした。
派遣は正社員や直接雇用のパートの人から差別される…みたいな話も聞きますが、コールセンターだと数百人が一緒に働くフロアで9割以上がみんな派遣なので差別は一切なし。
むしろ「派遣さんのおかげで仕事が回っているから社員は偉そうにするな」的な教育が行き渡っていて、ストレスなく働けました。
研修もしっかりしていて、評価をクリアして長く勤めれば正社員になれる登用制度もありました。
働く人は20代後半〜30代が多かったのですが、たまに新卒で働いてる若い人もいました。
その新卒派遣の人3人から聞いた話をご紹介します。
*登場人物はすべて仮名。
新卒派遣の実態1 アカリちゃん
なぜ、新卒で派遣に?
アカリちゃんとは、研修から一緒でした。
笑顔が素敵で、服装や持ってる小物も全部かわいい、ほんわかした乙女な人です。
ジェルネイルもお店で頼んだみたいに素敵なのを自分でやってると言ってましたが、服装規定にひっかかったらしく、ある日シンプルな単色に変わってしょんぼりしてました。
派遣の人どうしだと、あんまり詮索しちゃいけないような雰囲気があって、「どこ大学?」とか「なぜ派遣に?」とはあえて聞きませんでした。
が、実家から通っていること、お母さんのお弁当を持参していることなどから、おそらくバリバリ総合職で転勤もあり実家を離れるような働き方は親が反対してたんじゃないかと、勝手に想像していました。
派遣なら勤務地も勤務時間も選べますし、遅くまで残業することもありませんから、親御さんとしては安心かもしれません。
消えていく仲間たち
派遣はけっこう意識低い系の人も多く、研修初日から来ない、いつの間にか消えてるなんてザラです。
2週間ほどの研修の間に、一緒にスタートしたメンバーはすでに半分以下に。
アカリちゃんはその残ったメンバーの一人でした。
同期のメンバーはみんな別々の班に散らばって、シフトも休憩時間もバラバラになります。
たまに廊下ですれ違って、一言二言、交わすぐらいでした。
3ヶ月ほど経って、あれ、そういえば最近アカリちゃん見かけないな、と思ったら出勤簿からも名前が消えていました。
アカリちゃん、いつの間にか辞めてました!
けっこう仲良くしていた同年代の子にも黙っていなくなっちゃったみたいです。
転職したのか、結婚したのか、はたまたもっと服装の自由な別の派遣先に鞍替えしたのかは、謎です。
新卒派遣の給料はどうなのか
ちなみに、アカリちゃんは同時に入って私と同じぐらいのお給料をもらっていたと思われます。
どのくらいもらっていたかというと、時給1200円でフルタイムなので、額面で20万くらい。
それに10時間くらい残業代が入る月もありました。
ただし、給与には交通費も含まれていました。
徒歩や自転車で通える人は良いけど、定期代がけっこう痛かったです。
条件は派遣先によって色々ですが、月給だけで見たら新卒の正社員より稼げちゃうことも多いと聞きます。
ですが、交通費やボーナスが出なかったり、トータルで見るとけっこう安くなってた…ってこともありますので注意が必要です。
新卒派遣の実態2 ササキくん
派遣でも、就職は就職!
ササキくんも、研修同期の新卒派遣の人でした。
新卒で派遣であるということに悲壮感は全くなく、ちゃんとスーツを着て出勤し、
などと、完全に普通に正社員で就職したかのように緊張している様子。
そんな初々しい好青年に、上司も派遣の先輩のオッサン・オバサンたちもデレデレです。
みんなに可愛がられて、本人も頑張ってました。
新卒で派遣だなんて…っていう人もいますが、本人が気にしてなくて「就職だ」って一生懸命になれるんだったら別に関係ないんだなあ、とササキくんを見て思いました。
以外に多い? 新卒派遣の割合
厚生労働省「平成25年 若年者雇用実態調査の概況」によると、大卒の正社員とそれ以外で勤務していた人の割合は次の通りです。
正社員 78.2%
正社員以外 17.9%
働いていなかった 3.6%
正社員以外には派遣やパート・アルバイトも含まれますが、新卒が10人いたら1人くらいは派遣をやってるかもしれません。
と考えると、新卒派遣はめちゃくちゃマイノリティというほどでもありませんから、ササキくんのように全く抵抗がないという人がいるのもうなずけます。
新卒派遣の実態3 ミヤザキさん
最後は、上司のミヤザキさんです。
まだ20代半ばですが、仕事はチャキチャキこなす頼れる人。
彼女は新卒派遣でこの仕事を始め、試験をパスして契約社員から社員へと段階的に登用されたそうです。
なお、社員になってからはまだ間も無く、
とのことでした(笑)
上司の大部分は別の部門から移動になってきた人で、派遣出身の人は若干名という感じでした。
叩き上げの人の方が仕事をよく分かってたりするぐらいで、特に元派遣だからという差別はない様子。
正社員にさえなってしまえば、元が新卒だったか派遣だったかなんて関係ないんですね。
正社員の登用があるかどうかは派遣先しだい
私は他のコールセンターでも働いたことがありますが、そもそも社員に登用の制度がない、というケースもあります。
上記の大企業の「コールセンター部門」だと長期の仕事になりますが、下請けの「コールセンター専門会社」だと、キャンペーンの受付など短期間の仕事が多くなります。
仕事内容も圧倒的に簡単。
注文受けをして、パソコンに入力するだけ、とかそんな感じです。
一気に募集&研修して、実働は1ヶ月とか、下手したら数日で解散…なんてのもありました。
で、上の階で別の仕事の人員が足りないから、って呼ばれて「出張」することもしばしば。
代わりはいくらでもいるし、昇給とか社員登用たいな未来もない。
なんだか、自分が個人じゃなくただの「頭数」として見られてるような雰囲気が漂っていてました。
なお、働く人もヤル気のないオバちゃんたちばっかりで、スキあらばサボって上司の悪口言ってるって感じでした。
新卒でそんなゴミだめみたいな派遣先に入ったら終わりです。
どんなに給料がよくても、変な人から悪い影響受けまくるのはおすすめできません。
なので、派遣でもちゃんとキャリアアップしていきたい人は、派遣会社に希望を伝えて、派遣先は慎重に選びましょう。
新卒派遣が吉と出るのはこのパターン!
新卒派遣はメリットもデメリットもありますが、メリットを活かしやすいのは、こんなパターンじゃないでしょうか。
将来、起業を目指している
開業資金を貯めて起業するぞ
最初っから起業を目指す場合、いちおう定年まで働くことが前提の正社員になってしまうといろいろ不都合があります。
お付き合いや残業で時間が取られ、仕事にもそれなりに責任が発生しますので、準備ができたからといって急にバックレるわけにもいきません。
後任が採用されるのを待って、引き継ぎをして、辞めるのに1ヶ月以上を要することも。
それでも、会社の仕事が将来の起業のための修行になってるとか、人脈が作れるとかだったら、良いでしょう。
しかし「生活費や貯金を稼ぐため」と完全に割り切って数年間の期間限定で働くのであれば、派遣の方が適している場合があります。
- 仕事を覚えるのが楽
- 定時で上がれる
- ほとんど責任がない
- ストレスが少ない
- 人間関係が希薄
高度な技術を要求される専門職ではない、ごく普通の派遣の場合、仕事はマニュアル通りにやればいいだけの定形の業務になります。
いっかい覚えてしまえば毎日同じことの繰り返しで簡単です。
定時で上がれますし、代わりがいくらでもいる仕事だから、休みも取りやすく、辞めるときにも引き止められません。(この辺は派遣先によりますが…)
また、派遣される期間は決まっていて、長くとも3年でいなくなることが前提ですので、職場の人ともそこまで深い付き合いにはなりにくく、圧倒的に気楽です。
なので、プライベートを詮索されず、準備ができたらサッサとやめられる派遣は起業したい人には非常に働きやすいと思います。
プライベートの時間を確保したい
- 資格や公務員試験の勉強をしたい
- 趣味でフラメンコを踊ってたい
そんなプライベート重視の人にも派遣はメリットが大きいと思います。
- 時間通りに帰れるので、スケジュールが立てやすい
- 休みが取りやすく、試験や大会などにも出やすい
- 趣味や勉強のために体力を温存できる(仕事が楽)
私がみかけた人の中には、マラソンをやってる人とかボードゲームの全国大会に出場してる人がいました。
資格とか公務員試験とかの勉強をしている人もいたのかもしれませんが、見かけたことはありません。
まあ、いてもさすがにナイショでやってるでしょうね。
就活に失敗したがワンチャン大企業に入りたい
最後は…
という大企業志向の人。
新卒派遣は、就活で大企業に入りたかったけど内定取れなかった人の敗者復活戦です。
名だたる大企業でも、コールセンターの派遣なら手を上げるだけで、いとも簡単に潜り込むことができます。
派遣とはいえ、誰もが知ってる東証一部上場企業にIDカードをかざして入っていけるのは、ちょっぴり気分が良いものです。
そこから正社員の登用は狭き門ですが、チャンスはあります。
就活の面接で適当にパフォーマンスをするのが苦手なせいで、内定がもらえなかった…という人も、派遣で地道に働いて能力を発揮すればちゃんと評価してもらえるかもしれません。
どうしてもその会社!という思い入れが強ければ、とりあえず派遣やパートで働いてみるのもアリだと思いますよ。
新卒派遣まとめ
みんなが新卒派遣をやる事情はいろいろ。就活で失敗したという人もいれば、最初から選択肢の一つとして考えてる人もいます。
社員登用を目指せるかどうかは派遣先次第なので、将来どうしていきたいのかを派遣会社の担当に伝え、職場は吟味して選びましょう。
短期的には稼げるし仕事も比較的ラクですので、
- 起業や勉強、趣味など他の目標・目的のために割り切って一時的に働く
- とにかくその会社で働きたい、正社員を目指したい
というような場合には新卒派遣は良いかもしれません。
ただし、ヤル気のない人も多いので、くれぐれも空気に飲まれないように!
「新卒派遣は負け組」って言う人もいます。「会社員なんてやってたらだめだ」って言う人もいます。
人の評価よりも、自分がどうしたいかを大事にしましょう。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。管理人の佐藤想一郎と申します。
私が執筆しました、レポート『Cycle(サイクル)』では、今まであまり語られることのなかった〝引き寄せの法則の、もう1つの側面〟について書いています。
・「ワクワク」のダークサイド(暗黒面)とは
・9割の人が見落とす〝引き寄せられない〟根本原因
・想像すら超えた未来を引き寄せる、運命を変える秘訣
といったことにも触れています。
よろしければ読んでみてくださいね。
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