言いたいことはあるんだけれど、どこかで聞きかじったような薄っぺらなことしか言えなくて、自分の言葉で伝えられない。
映画や本の感想を書くとき、パンフレットや誰かのレビューそのままになってしまって自分の言葉にできない。
そんなもどかしい思いをしたことはありませんか?
私も小学生の時から本は好きなのに読書感想文が苦手で、自分の言葉にするのが苦手でした。
ですが、たまたま文章を書く仕事を始めて3年、自分の言葉にするという作業がやっと分かってきました。
この記事では、自分の言葉で伝えるとはどういうことなのか、そして自分の言葉にするトレーニング方法を、図解を交えて分かりやすく解説します。
お読みいただければ、就職の面接で話したり、ちょっとしたコメントやレポートを書いたりする場面で、借り物ではない「あなたの言葉」で表現するヒントになると思います!
目次
自分の言葉で伝えるとはどういうこと?
そもそも「自分の言葉」ってどういうことでしょうか?
言葉には辞書に載っている言葉や話し言葉、ネット特有の書き言葉など色々ありますが、どれも誰かが使っている言葉です。
完全に自分だけのオリジナルな言葉があったら、きっと他の人にはちんぷんかんぷんで伝わりませんよね。
でも、何となく自分の中で消化できていない言葉と、内側から出てくる使いこなせている言葉が違うのは感覚的にあると思います。
例えば、映画の例で考えて見ましょう。
「面白かった映画」を言葉にできますか?
これを書いている今日、私は映画『キングダム』を見に行く予定です。
映画『#キングダム』を
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— 映画『キングダム』公式アカウント (@kingdomthemovie) 2019年5月1日
今の時点で「キングダムって、こんな映画だよ」と他の人に説明しようと思ったら、公式サイトや映画.comなんかのレビューを引っ張ってくるしかありません。
原作は読んでいますが映画はまだ見ていなくて情報が足りないんですね。
でも、夜になって映画を見終わったら、きっとベラベラ感想を話せるようになっているはずです。
- ここがすごい感動した
- アクションがこんな風にすごかった
- 原作にないこんなシーンがあった
- キャストの誰々がかっこよかった・かわいかった
- 脚本が〜、音楽が〜、カメラワークが〜どうのこうの
元の映画を知っていて情報量があるから、角度や切り口を変えていくらでも語れるわけですね。
もちろん映画を言葉で説明したら、情報の大部分は欠落してしまいます。
何時間かけて言葉を尽くそうとも、実際に映画を見てもらうのには及びませんよね。
「映画『キングダム』のあらすじを3行で教えて」と言われたら、映画を観る前後でほとんど変わらないかもしれません。
春秋戦国時代の中国で、奴隷の少年・信が、
反乱で首都を追われた国王・嬴政に協力し、
王座を奪還する。
しかし、単に公式サイトの言葉を書き換えただけなのか、自分が見た映画の体験から落とし込んだのかでは、行間に含まれる情報量は全然違います。
ちゃんと映画を見てあらすじを書いたときのほうが、より「自分の言葉」になっているはずです。
映画を見ていない状態で文字だけを入れ替えて字面を変えても、決して自分の言葉にはなりません。
自分の言葉は単なる言い換えではない
図解にすると、こうなります。
映画の例では、上の雲の部分が映画、左下の「インプット」側の言葉が他の人が書いた公式サイトやレビューの言葉に当たります。
他の人の言葉だけを拾って、単語や言い回しを変えたりすれば見かけ上はオリジナルな文章になりますが、これは単なる言葉遊びに過ぎません。
本当の意味で自分の言葉にするには、雲の部分の元情報や概念、背景などの知識を理解している必要があります。
逆に、雲を自分のものにしていれば、他の人の言葉を見なくても自分の中から言葉を紡ぎ出すことは可能です。
よって、自分の言葉で伝えられない原因は次のいずれかと考えられます。
- 概念が自分のものになっていない(情報不足)
- 概念を適切に表現するスキルがない(語彙不足)
1は本を読んだり人の話を聞いたりして「分かったつもり」になっている、または単純に知識が足りていないパターンです。
2は、高度な思考に言葉が追いついていない、上手に言い表せないという人です。
いずれも改善できるトレーニングを後半でご紹介していきますが、その前にもう一つ、押さえておきたいポイントがあります。
伝える相手に合わせて言葉を選ぶ
なぜ「自分の言葉」にできた方が良いのかというと、カッコいいから!・・・ではなく、その方が相手に分かりやすく伝えられるからです。
ちゃんと概念を理解していると、そこから色々なバリエーションの言葉に変換できます。
例えば、「感謝は大事」という概念を、小学生・就職活動の面接官・ブログの読者に伝えるとしたら、きっとそれぞれ違う言葉を選ぶはずです。
小学生だったら、毎日食べている給食が届くまでに何人の人が働いてくれているのか、日本だけじゃなく外国の人にも助けられてるよね〜みたいな話が分かりやすいかもしれません。
就職活動ならアルバイトやボランティアで経験した感動のエピソードを引っ張ってくるでしょうし、ブログなら自分のブログの読者層に合わせた面白い話が良いでしょう。
同じ概念でも、伝える相手によって単語や具体例・例え話のエピソードなどが全く違ってきます。
- 相手は何に興味があって
- 普段どんな言葉を使っているのか
- その概念についてはどこまで理解できているのか
自分が概念を理解できているだけでなく、伝える相手のことも理解できて、初めて適切な「自分の言葉」にできるのです。
「どうやって話そう」「何を書こう」と自分のことを考えているとなかなか言葉が出てきませんが、「この人にはどんな話をしたら喜んでもらえるかな」「どう書いたら分かりやすいかな」と相手のことを考えると、アイディアが出やすくなります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、今まで使っていなかった筋肉を使うようなものですので、トレーニングすればちゃんとできるようになりますよ。
次では、自分の言葉で伝えるトレーニング方法をご紹介していきます。
自分の言葉で伝えるトレーニング
自分の言葉で伝えるためにやるべきことは、たった2つです。
- 大量インプット
- 大量アウトプット
「大量」と言われると、えー面倒臭そうだなと思われるかもしれませんが、これは毎回やらなくても大丈夫です!
何か一つのことで、雲に接続して人の言葉から自分の言葉に変換する回路を作ってしまえば、次からは「そこそこのインプットで、たくさんアウトプット」なんてこともできるようになりますよ。
では、インプット・アウトプットそれぞれの具体的なやり方を解説します。
大量インプット
概念・背景の知識を仕入れる
人に1を伝えようと思ったら、自分は100を知っていた方が楽です。
何でもいいので好きな分野を1つ選んで「これならカンペなしでも半日しゃべれる!」くらいマニアックに極めてみましょう。
趣味とか元から好きなものがある人は、それを更に深めて見るのでOK。
特に思い浮かばない人は、図書館か本屋さんに行って面白そうなジャンルの本を一気に10冊ぐらい読んでみてください。
網羅的な知識が頭に入ると、「ふむふむ、これってこういう感じなんだな〜」とぼんやりと概念がつかめてくると思います。
このブログを書くのにも実は180時間以上のセミナー、50冊以上の本からインプットしています。
やってるうちに「あー、これに近い話が心理学のあの本とに書いてあったな、仏教にもそんな概念があったな…」とだんだん知識同士が繋がってきます。
そうして雲が分厚くなってこそ、雨(アウトプット)を降らせられるのです。
経験する
概念を自分のものにするには、本を読んだり人から話を聞いたりするだけではなく自分でもやってみるのが大事です。
私の失敗談なのですが、前に「小説を書いてみよう」と思い立ち、『小説の書き方』みたいな本を10冊ぐらい買って読んでみたことがあります。
ところが、自分で小説を書くということをしなかったので、「勉強になったな〜」で終わってしまいました。
1冊読んだら、とりあえず10作品ぐらい書いてみれば良かったんですよね。
ブログならいっぱい書いてますが、やっぱり自分でやってみながら他の人のライティングの本やセミナーで勉強するとよく分かります。
なんというか、同じ話を聞いていても情報の復元率が違うんですよ。
何もしないで知識だけ受け取るよりも、自分でも経験しながら学ぶことによって、「なるほど、これはあれのことかな?」と非言語の領域を汲み取りやすくなるのです。
全く料理をしたことのない人よりも、普段から自炊している人の方がレシピを見ただけで理解できる、という例が分かりやすいでしょうか。
筆者が伝えたいことを100%全部は汲み取るのは難しいですが、自分でも筆者に近いことを「やってみる」のがおすすめです。
深く考える
しかし、中には話自体が抽象的だったり、物理的に実行が難しかったりして、自分で体験できないこともあります。
例えば映画『キングダム』を見たからといって、タイムマシンで古代中国に行って戦うことはできませんよね。
その場合は、自分なりに深く考えることが大事だと思います。
- このシーンは何のために必要だったのか?
- 物語を通して伝えようとしているメッセージは何か?
- みんなが感動するポイントはどこか? それはなぜ?
- このキャラクターはどうしてこんな動きをしたのか?
- 映画がヒットするのにはどんな時代背景があるか?
答えがあるわけではないですが、自分なりに問いを立てて色んな角度から考えてみると、現実には体験していなくても頭の中でより情報を濃くできるのではないでしょうか。
表現のインプット
最後に、表現力のトレーニングとしてのインプットです。
思考の方が言葉よりも情報量が多いので、うまく言葉で表せない現象はどうやっても起こります。
映像を文字にしたら、文字から元の影像を正確に再現するのは難しいのと同じですね。
頭の中にある「それ、そのもの」を直接書きあらわすことは難しいので、色んな例え話だとか、比喩を使って、どうにか伝えようとがんばるわけです。
この時に語彙や構成が役立ちます。
表現ツールを自分の中に仕入れるには、良い文章や話にたくさん触れましょう。
中身ではなくあえて「表現」に着目して本を読んだり、話を聞いたりしてみてください。
自分では使っていなかった言葉や言い回し、ぴったりな比喩表現や伏線の回収など、いろんなテクニックに気づけるはずです。
私は気に入った文体の作家・ライターの文章を書き写すのを1日に1時間のルーティンにしています。
話す方なら、テレビやYouTubeで話の上手な人を見つけて、完全にコピーする練習もおもしろいですよ。
続いては、アウトプットのやり方を見ていきましょう。
大量アウトプット
人と話す
まず、やった方がいいのは「雑談」です。
「こんな面白いことが合ったよ〜」と周りの人に自分からどんどん話を振って、相手の反応を見ましょう。
雑談はリアルタイムで進行していきますから、話すことをじっくり考えたりカンペを見たりする暇はありません。
「何も見なくても思い出して話せること」が最初はほんのちょっとしかないかもしれませんが、同じ話を色んな人にしゃべっているうちに自分の中でもまとまってきます。
また、話した人のリアクションから「ここはもうちょっと丁寧に説明してした方がいいな」「ここで笑いが取れるぞ」などと学習して、話の組み立て方も上手になりますよ。
ツイッターやブログで発信
知らない人にも自分の言葉で伝えるには、Twitterやブログが絶好の練習場所です。
ビジネスをやってる人はそのアカウントを使っても、アウトプット用に新しく作っても構いません。
勉強したことや気づいたこと、自分が「面白い」と思ったことを他の人にもシェアしましょう。
ポイントは、カッコつけないこと!
立派なことを書こうとするよりも、等身大で本音を書いた方がよく共感されてウケます。
また読む人のイメージは漠然とした「誰か」ではなく、「友達の三浦さんみたいな、こういう人」と具体的にしておいた方が書きやすくなります。
話す場合はYouTubeでも良いですが、Twitterの方が手軽で続けやすいかもしれません。
書くのも話すのも、とりあえず100回くらい投稿してみると自分の言葉にする感覚がつかめてくると思いますよ。
何か作ってみる
原理はわかりませんが、言葉以外のアウトプットも言葉の表現にプラスになるようです。
例えば作家の森博嗣さんは、子供の頃から工作が好きで機械を分解したり組み立てたりしていたそうです。
話のうまいお笑い芸人にも絵の上手な人や舞台セットを自分で作ってしまったり、独創的なメイクやダンスをする人が多くいますよね。
工作、動画、絵など、何かを作ることにより、言葉以外でも概念の雲からアウトプットする回路を活性化できるのかもしれません。
簡単にできるトレーニング方法としては、「1日に10分間、紙に何かを書く」というものがあります。
絵や図を描いても良いし、思いついた言葉でも明日の献立でも何を描いても構いません。
やっているうちに、何となく自分の世界観みたいなものが分かってきて、ぼんやりしたものを具体的にアウトプットする感覚がつかめてくると思います。
私もやっていますが、意外と面白いのでぜひ試してみてください!
自分の言葉で伝える|まとめ
自分の言葉で伝えるということは、他の人の言葉の表現を入れ替えることではありません。
言葉の元になっている概念や背景知識をちゃんと自分の中に取り込んで、その知識の雲を、読み手に合わせた言葉に落としこんで、初めて自分の言葉になります。
うまく自分の言葉にできない原因は、知識の雲に情報量が不足しているか、表現する語彙が足りないかのどちらか。
大量インプットと大量アウトプットのトレーニングで概念と言葉を変換する回路を活性化しましょう!
言葉そのものが情報量の少ないものなので完璧には伝わらないものですが、だからこそ読む人の心に響いたときの喜びはひとしお。
あなたの言葉と人生がより豊かになりますように祈っています。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。管理人の佐藤想一郎と申します。
私が執筆しました、レポート『Cycle(サイクル)』では、今まであまり語られることのなかった〝引き寄せの法則の、もう1つの側面〟について書いています。
・「ワクワク」のダークサイド(暗黒面)とは
・9割の人が見落とす〝引き寄せられない〟根本原因
・想像すら超えた未来を引き寄せる、運命を変える秘訣
といったことにも触れています。
よろしければ読んでみてくださいね。
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